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ルーンの子供たち DEMONIC

ルーンの子供たち DEMONIC 1

ルーンの子供たち DEMONIC 1

 やっと続編が刊行されました。すごく楽しみにしていたシリーズです。今回の主人公は天才少年ジョシュア。すべてに秀でたその才能のため、必要以上に大人びた存在でなくてはならなかった彼。でも、彼は牧場でマキシミンやまた同じくデモニックである叔父と出会い、かなり人間らしい生活を送るようになります。本当に生きているということを感じられるようになったのは、どんなにむちゃくちゃでも彼らとともに生活したからだと思う。そんな彼はひとときの時間を牧場で過ごし、また公爵家に戻ることになる。そして、そんな彼には大きな策略が巡らされていた。毒殺されそうになり、姉を失う。そして彼の偽物が本物の居場所を占めていた。
 必死に彼を捜しにきたマキシミン、ひょんなことから巻き込まれたリチェ。ジョシュア一人だと重くなりすぎる人生がマキシミンやリチェのおかげで、明るいものになっていく。この2人と行動を共にするようになってから、物語もどんどん進みだし、ジョシュアも一人の人間としてしっかりとみることができるようになった。あまりにも完璧すぎる(体力を除く)彼の存在は、畏敬の念は抱けども、親近感がわかなかったのだが、この二人といるときの彼は本当に自然で普通に悩める一人の人間なんだ。そんなふうに肩のチカラが抜けている時間が彼にとっては最高の時間なんだろう。
 彼の周りにはまだまだ不思議なことがいっぱいで、当たり前のように寄り添っている幽霊やとんでもない暗殺者、ドッペルゲンガーが当たり前のように彼に成り代わり、本物の彼は命をねらわれる。いい人そのものに見えたテオ兄さんも何を考えているのかわからないし、デモニックという存在自体が時代に何を求められているのだろうと思う。時には冷酷に見えるほどにとぎすまされているジョシュア。彼の精神は本当に危うく思える。彼がこの過酷な時代の中で何を掴んでいくのだろう。
 冬の剣で登場した人物はちらっと話の中で出てきたのみ。でも、同じ世界の中で同じ時代を生きている。それがシリーズとしての面白さかも。


ルーンの子供たち DEMONIC 2

ルーンの子供たち DEMONIC 2

 2巻になって、前作でも出演していたランジエ登場。扱いが破格なのでめちゃめちゃかっこよく書かれています。共和国と王国制というすごく大きな流れにジョシュアが絡んできました。3巻だけでこの問題に決着が着くのだろうか?と思うようなところで終わっています。ランジエとジョシュアの対決構図になりそうな気配もするのですが、そうなったらそうなったで、ものすごい頭脳戦。決着が着くより前に国が滅びてしまいそう。その間に入っているテオがそれほど大物とは思えないけれど、ものすごい要に居て、これからどう動くのかハラハラしています。
 超大物ウィザード、ジュスピアンが大ボケなのかまじめなのかわからない感じ。なんだかんだしている間にマキシミンは伝説のヴァイオリンを弾きこなせるとんでもない存在ということで、魔術師の弟子入り決定? このあたりはほのぼのしていていいのですが、とんでもない飛行船が飛び立つ時に、ジョシュアに大きな変化が。降霊まで出来るようになってしまって、ほんとに大丈夫なのでしょうか。デモニックのリミットがわからない。後半はお金を稼ぐために公演するストーリーでこのあたりは恋も絡んできて面白い。ラストは例の仕事人との2度目の対決シーン。ジョシュアがそんなに強くなってしまったら、もう誰も止められないのではないのでしょうか。そして、リチェ。彼女が払った代償は大きすぎる。
 ジョシュアがその才能を余すことなく発揮している後半は生き生きしています。それまでは、もう一人の自分という存在をすんなりと受け入れすぎてしまっているように思えたり、それでいて複雑だったりと彼の悩みも尽きません。マキシミンのはっきりとしたものの言い方がほんとに救いになってます。そしてリチェはやっぱり特別。あまりに普通じゃない人たちに囲まれすぎているから、彼女は自分ではそんなふうに思わないかもしれませんが、あのメンバーの中でやっていけるってこと自体がすごいことだし、みんなの心の拠り所にもなっているんじゃないかな。ジョシュアの心の境界は彼自身が思っているよりも、すごく薄くって、彼が彼として生きているということが奇跡みたいな出逢いによってできている気がします。誰も自分の存在をしっかりとは掴めないけれど、こうやって周りに仲間がいる間は何があっても大丈夫だなぁと思えるのです。それがデモニックであったとしても。
さて、どう決着が着くのでしょうか。3巻を早く読みたい。


ルーンの子供たち DEMONIC〈3〉

ルーンの子供たち DEMONIC〈3〉

 3巻。3巻で完結するのだと勝手に思っていたので、中盤まで展開がゆっくりなのに疑問を抱いていた。最後まで読んだ。3巻で完結ではなかった。4巻!いや、もっと続くのか?!
 リチェを助けるためにジョシュアは自分のすべてをなげうつような行動に出、見事に窮地に立たされる。なんとか脱して、船に乗っているが役に立ってない3人はやっとのことで目的の島にたどり着いた。その島で見たものや聞かされた話はいままでに伝えられていたものとは違っていたし、ジョシュアの心にも少なからず影響を与えた。ジョシュアの霊媒としての実力も上昇中。このごろでは普通に幽霊たちが彼らの周りにいるようになってしまった。そして、ジョシュアが彼らに果たさなければならない約束もはっきりしたが、実現は難しそうだ。ラスト、とうとう、伝説のウィザードに出会ってしまった二人。真実はどうでるのか。途中、誰のものかわからないエピソードが入ってました(最終章の前)。あれはいつの話でいつのことなんだろう。
 一方、ランジエは今回も華麗に活躍中。シエンと一緒にパーティで情報活動するシーンが印象的。そして、とうとうランジエがジョシュアに目をつけてしまった。そして、ジョシュアの偽物がいることにも確信を持ってしまった。ランジエとジョシュアが対決(?)する日も近そう。しかも、ランジエはジョシュアをよくは思っていない(よく思う理由はないが)ことから、どんなことになるのか、少しだけ想像が付く。
 ジョシュアとリチェの関係は進展せず。結局、3人で仲間〜って雰囲気のまま。でも、リチェやマキシミンが過去のイカボーン時代の誰かと重なって見えたりして、いろいろ運命なのかなと思わせる。ジョシュアはラストではマキシミンと普通の男の子のように水をかけあって遊んだりして、この3巻ではデモニックというよりは普通に悩める少年だったと思う。でも、そんなふうに普通に笑顔でいてくれることが彼の安定に繋がっている気がする。陰謀渦巻く世界よりも、こうやって海の風に吹かれてた方がいい。3巻は大物な敵がいなかったので、比較的穏やかに過ぎた。カナポリの魔法がすごく重要なキーワードに。過去は今に大きな影響を及ぼしている。そして今は未来に繋がってる。