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守り人シリーズ

児童書

虚空の旅人 (偕成社ワンダーランド)

虚空の旅人 (偕成社ワンダーランド)

 守り人シリーズの主人公はバルサなのですが、わたしはチャグムもかなり好きなので、これからも活躍してほしいです。チャグムは王子として生まれましたが、バルサたちとの暮らしの中で、本当に大切なものを身につけたなと思います。それは自分の信念を貫く強さであったり、人をいたわる気持ちであったり、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、人としてとても大切なことだと思います。そんなチャグムの強さや優しさ、聡明さといった魅力が溢れる作品でした。王国を動かす陰謀はラストまで気の抜けない展開ですし、1人1人の思惑は人間らしい部分がたくさんあって、泥臭くそしてあったかいです。1人の人生、そして、国の行く末。それはすべて人間が作っていくことです。あったかくもあり、汚くもある。でも、その中でも他の世界を見る心さえあれば、大きくはばたけるのでしょう。狭い視野に捕らわれることなく、自由に空をとべるでしょう。

神の守り人<来訪編> (偕成社ワンダーランド(28))

神の守り人<来訪編> (偕成社ワンダーランド(28))

神の守り人<帰還編> (偕成社ワンダーランド(29))

神の守り人<帰還編> (偕成社ワンダーランド(29))

 今回は2冊続きです。読みごたえもあって、展開も大きく広がっていって「守り人シリーズ」の醍醐味が味わえました。バルサが背負ってきたものは前作で消え去ったようにも思えましたが、戦うということ、その行動そのものの重さをバルサは今も背負っています。それは命の重さでもあるのでしょう。神のチカラを得てしまった幼い子供。そのチカラがなんであるのかさえもわからずに、ただ自分の恐怖心からそのチカラを解き放ち、そして、信じるままに身を任せてしまった。それが命を奪う行為だということもはっきりわかっておらず、その重ささえも感じてはいない。バルサにとって自分の経験から導くということができる人だと思っていましたが、ただ、その導きが母への気持ちや信じる気持ち、そして誘惑以上になりうるのかどうかが疑問でした。でも、バルサだけではない、たくさんの人の気持ち、なによりそのチカラを持った子供の強い心が、結末へと導いたのだと思います。たくさんの人の思惑が揺れる国だからこそ、その上に立ち、導いていくことは本当に難しいことだと思います。

蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))

蒼路の旅人 (偕成社ワンダーランド (31))

 チャグムを主人公とした新しいシリーズの始まりです。皇太子としてのチャグムは立派になり、そして大きな世界を見ることになりました。新ヨゴ国を守るために彼ができることとはなんなのでしょうか。広い世界、異なる国々を見たことから自分の国に足りないものも見えたし、もっと大きな流れも見えてきました。チャグムはいつでもナユグに逃げることができる。自分を疎む父との確執に心休まらない日々。でも、チャグムは自分が逃げればどれだけの人が傷つくのかを知っているので、決して逃げたりはしません。彼ができる精一杯のことを必死に成し遂げるだけなのです。大きいものに巻かれたりせず、本当に大切なことを知っている、ほんとうに稀なる皇太子だと思います。今はたった一人で自分や新ヨゴ国に襲いかかってくる大きな波と戦おうとしているチャグム。きっと、その想いはいろんな人に届いて、信頼おける仲間ができていくことを信じています。まだ、彼の戦いは始まったばかりです。