アブダビGP決勝。

 ワールドチャンピオンもコンストラクターズも決定した後の消化レースになってしまいましたが、いろいろ面白いレースでした。アブダビは初めてのサーキット。モダンサーキットというか、とにかく付属設備がすごそう。コースレイアウトは意外に単純っぽいのですが、スタンドやホテルや港や周りがものすごくセレブっぽいサーキットです。トワイライトレースということもあって、徐々に暗くなっていき、サーキット場の照明が煌々と輝くようになり、路面温度も変化していく中でのレースは面白かったです。照明というかライティングがとても綺麗でした。抜きどころも随所にあるので、レースとしても面白いものになりました。
 予選はルイス・ハミルトンがとにかく速くて、予選だけ見ていたらぶっちぎりで優勝してしまいそうだと思いました。レッドブルとブラウンの2台がそれに続くカタチです。さて、決勝。スタートでの順位変動はなくスムーズ。3位のウェーバーと4位のバリチェロに接触があり、バリチェロのマシンからパーツが飛んでしまったため、バランスを欠いたのかバリチェロはペースが上がらずに、ジェンソン・バトンに抜かれて5位に。ハミルトンがとても速いのだろうと思っていたのですが、意外にベッテルとのタイム差はそれほど広がりません。そして、パーツが飛んだはずのバリチェロのペースが良くなってきて、これもびっくり。1ストップ作戦と思われる小林もいいペースで走っています。
 そして2ストップ組の最初のピットイン。バトンがピットアウトしたのが小林の直前でちょっとしたバトルがありましたが、ここはあまり無理しても仕方なさそうだし、だいたい燃料量も違うし、こんなものでしょう。ハミルトンの前にベッテルが出る結果になり、ちょっと驚き。驚きといえば、アルグエルスアリトロロッソのピットではなくて、レッドブルのピットに入るというのはどういうこと?!慌てふためくレッドブルに同情。だって、その直後にベッテルのピットが迫っていたんだし! この初歩的ミスはどうしようもない。
 そのあとなんと!ハミルトン、リタイヤ! リアブレーキの不調らしい。あんなに予選が好調だったので、ぶっちぎりかと思ったがこんな結末になるとは。ベッテルウェーバーはかなり楽になりました。ここでブラウンの無線によると、小林とバトンがかなり競っているらしいとのこと。3位のバトンと小林が争っているという不思議な状態が信じられませんでしたが、どちらかというとブラウンさんの心配性的な発言だったと思われます。小林はとてもいいペースでしたが、どうも6番手争いくらいのようです。小林がピットに入ってソフトタイヤにチェンジしましたが、タイムはそれほど伸びてきませんでした。対照的にハイドフェルドがいいペースで追い上げてきています。
 2ピット組の最後のピット。バリチェロハイドフェルドの同時ピットインは見応えがありました。ぎりぎりでしたね〜。順位変わらず、ベッテルウェーバー、バトン、バリチェロで。最終スティントはバトンが魅せてくれました。1周ごとに0.5づつウェーバーを追い上げていき、最終周ではコーナーごとにバトルが繰り広げられました。手に汗握る攻防。ひさびさにみた積極的な攻めのバトンでした。抜くことはできませんでしたが、最後まで盛り上がりました。ベッテルの優勝でフィニッシュ。
 今年1年はいろいろ初めから終わりまで栄枯盛衰があったように思います。開幕戦から猛ダッシュしたブラウン。結局、最初の貯金が多かったので、2つのタイトルを手にすることになりましたが、後半は伸び悩んでいました。レッドブルはちょこちょことポイントを落としたレースが多くて、結局それが全体に響いてしまいました。マクラーレンは後半ものすごい戦闘力を取り戻してびっくりでした。フェラーリは…、ことしはなかったことにしましょう。マッサが元気そうなのがなによりです。トロロッソアブダビでもブエミがものすごく速くてびっくりしたりと意外に活躍。トヨタは前半の好調が維持できなくて残念でした。小林さんは2戦目でポイントを獲得して評価も高そうです。
 来年は給油がなくなるし、参加チームが増えるし、ドライバーもいろいろ動くし、まったく新しい勢力図になりそうです。フェラーリもこれで終わるわけではないでしょう。マクラーレンもやっぱりすごいと思います。今年好調だったレッドブルとブラウンがどうなるのか、それもわからないですが、がんばってほしい。ベッテルはほんとすごいドライバーだと思います。ポテンシャルは高いです。バトンは今年ワールドチャンピオンが獲れなかったら、また遠のいてしまいそうな気もしましたが、ベッテルはこれから何度かチャンスがあるように思われます。でも、私はジェンソン・バトンを応援してます。安定感があるところもここぞというポイントは締めるところも、しっかりチャンピオンだと思うので! 解説の今宮さんがジェンソンに辛口コメントなのですが、「前半のジェンソンAと後半のジェンソンB、今日はジェンソンA’」と言っていたコメントにうなずいてしまいました。アブダビの走りはよかった。その前のブラジルもですが。やっぱり守りじゃなくて攻めの走りが見たいと思ってしまいます。今年はチーム全体がチャレンジという気持ちだったのがよかったのだと思っています。バリチェロとバトンの仲もチームの仲もよかったと思うので。チャンピオンチームになってからも、チャレンジ精神でどんどん行ってほしいです。今年はとっても楽しい1年でした。来年もよろしくお願いします。