◆流れ星と契約。

ハウルの動く城 [DVD]

ハウルの動く城 [DVD]

 地上波で「ハウルの動く城」を放送していたので、全部見てしまいました。映画で見たのが2年ほど前になるので、丁度いいくらいにいろいろ忘れていて、その分しっかりと楽しめました。テレビで見るのと映画で見るのはやっぱり、いろんなところが違いますね。音の一つ一つとか画面の細かい部分はテレビの方がじっくりみれたりします。映画にはあのスクリーンで見るからこその楽しみもいっぱいあるんですけど(最大の利点は作品の新鮮味)。
 やっぱりハウルとソフィーが出逢う最初のシーンが一番好き。ハウルっぽくて派手でキザで女たらしだから(笑)2度目を見てもやっぱりハウルがかっこよかったです。でも、今日はそれ以上にソフィーの強さを感じました。彼女はほんと強いです。最初に誰からも愛される妹から「自分のことは自分で決めなきゃダメよ。」なんて言われてましたが、ソフィーはちゃんと決めてましたよね。最初から。とにかく頑固で決めたらやることはやるし、後先考えずに飛び込んだり、抱きしめたり、女の子らしいところは全部持ってました。とにかく行動して、やっちゃったことの結果に自分が驚いて泣き出したり、突然、自分のせいだと卑下したり、感情の起伏が大きいところが全部女の子らしかった。そして、たぶんそういう感情で走れる部分が女の子の強さなのだと思っています。そういうふうに行かなきゃ行けないときだってあるの。そして、そのリミッターの解除は恋がスイッチになっていたりするんです。ソフィーはいろんなものを引き寄せてしまいましたが、それが彼女の最大の魅力。なにをも包容するその器の大きさが魅力なんです。それがハウルでさえも安らげる場所を作っていったんだろうな。
 ソフィーの老いの魔法というのは心にかかっている魔法なんです。映画で見たときにはわからなかったのですが、今は私自身がその魔法に囚われている気がしてます。心の老化ってヤツ。「老人は…」から始まるソフィーのセリフがそう。心が老いたと思った瞬間に身体的にも老いていく魔法。「もう若くないから」というたびに本当に年をとってしまう。結局はこの魔法、ソフィーが恋のチカラで消し去ったのでしょうが、私はどうやって解除できるのか。誰にでも忍び寄る魔法なので、気を付けて。
 ハウルはなんか優しいよね。こんなに優しい人だとは思わなかった。魔女よけのお守りのお話はホントかウソか?と疑問符も付いたけど、結局寂しがりなのはホントだと思う。そんな彼が戦争に身を置くことがどんなに引き裂かれることか。結局、心がこっちにあったから、戦争に食われなかっただけで、ほとんどハウルは持ってかれてたんじゃないかと思う。心がなかったのかというと、そうでもなくて、やっぱり彼にはちゃんと心があった。魔法という武器をどう使えば幸せになれるのか考えていた。そして、答えが見えなかったから逃げてた。戦争というものをこうやって一つの視点だけからみると、ほんとに虚しいものに思えてくる。温室の中で決められたゲームにすぎないんじゃないかって。そして、万能に見える魔法でさえも何かを食い尽くして殺していくんだ。それでも最後に彼が笑っていられることが、本当に幸せなんだと思える。流れ星に命の契約を交わすことがどれほどの大きさなのかわかっていたのかな。あの無垢な瞳の中に何を思っていたんだろう。幸せを願って、流れ星を食べたのだろうか。
 作品の感想としては前回の方がまとまりあって書けてると思うので、そちらを(◆女好きで自信過剰でだらしなくて、最高にかっこいい魔法使い。 - *Memoire07*)。今回書いたのは映画を楽しんだだけの直感重視系。答えを見付けようとしない方がいろんなふうに見えて楽しめます。