白い巨塔。 

 「白い巨塔」の前半10話までを見ました。財前助教授がいかにして教授になるのかというところが描かれていました。ドラマらしさが溢れていて、ちょっと誇張しすぎでぎらぎらしている部分もあるかなぁと思いましたが、あっという間に10話まで見てました。
 ドラマ放映時は財前派と里見派というようなことも言われていたらしいですが、私はどっちでもないですね。財前助教授が教授になろうとする野心もわかるし、だけど心の奥で彼を否定する気持ちもある。教授になるために医者としての本分を忘れているのでは…というのが批判なのでしょうが、彼が目指したのは『教授』であって、すでに医者ではないのかもって思いますよ。教授のお仕事は直接の回診ではないところにありそうですし。たまに母と電話しているときの彼が妙に泥くさくて、人間ぽくて、そういうところは好きだったりします。だけど、全体として切り捨てていく冷血さと、上滑りな誠意が好きにはなれません。利用されるだけという気がしてしまいますから。逆に里見助教授はたしかに患者のことを思いやるよい先生です。でも、ほんとにいるのかなーって気持ちにさせられちゃいます。自分のこと顧みるより患者のことって思える医者が・・・。それで若いうちは多少のムリもできるかもしれませんけど、そんなふうにすべての人間に完全であろうとする気持ちは、いつまで続けることができるのかって、ちょっと思ってしまいますよ。いろんな人のいろんな感情を全部受けとめていたら、自分がダメになってしまいそうな気がするのですが、どうなのでしょう。割り切ることも辛くても必要なことかもしれないと、思えてしまいます。すべての人を守ることはできないのだから。
 1番理解できないのは東教授です。なぜあんなに財前助教授を嫌がっているのかがわかりませんでした。たしかに自分より目立つ部下は腹ただしいかもしれませんが、東教授にやっていることは自分の立場を悪くするだけのことだったし、嫌でも財前に恩を売っておいた方が今後のためになったような。まぁ、そういうとこ、東教授はすごくプライドがあったのだとは思うのですが、結局、すごく子供っぽい自分の好き嫌いに終始しているような印象しか残りませんでした。"こんなふうにして教授になった財前の未来は明るくない”というようなことを言ってましたが、"こんな事態”にしたのも自分なんだぞ…と言ってやりたくなりました。 さて、これから後半です。オールバックにした財前教授がどうなっていくのか楽しみです。