◆ひらがな。

 押入れの中を探していたら、段ボール箱にまるいひらがなで「もうふ」と書いてあった。ひさしぶりに見た祖母の文字。祖母は基本的にひらがなしか書かない人だったことを思いだした。「ちやわん」「こつぷ」どんどんでてくるひらがな文字。
 この文字を見ながら、長い時間を過ごした子供時代がよみがえった。そんなふうに、ちょっとしたところに想い出のスイッチが隠れている。写真より声より、わたしは祖母の文字に一番、おばあちゃんを感じた。