バンクーバーオリンピック 女子FS。

ごめんなさい。浅田真央さんがものすっごくがんばって、がんばって努力して、そして、掴んだ銀メダルなのに、私はやっぱりものすごく悔しくて、おめでとうが言えないでいます。真央さんはきちんと自分の負けを正面から受け止めて、そして「納得していない」と言っておられたけれど、私にはまだそれもできなくて、どうしたらいいんだろうと思うくらいです。
 真央さんの演技をテレビで見て、祈るような気持ちでいました。最初の3A。跳んだ瞬間に決まるってわかった。次の3Aも大丈夫だってわかった。3Loが決まって、3Fからのコンビネーションジャンプ。軸が斜めになったのが見えたから、どきっとした。オーバーターン。そのまま単独になるのかと思っていたら、きちんと+2Lo+2Loを付けていました。ミスが出てしまったことに、私はたぶん、真央さん以上に動揺してしまった。まっしろになってしまうくらいだった。だから次の3Tが跳べなかった理由があまりよく見えてなかった。後でもう一度見返したら、エッジがひっかかってしまったようだった。
 がんばって!会場で飛んでいた声と同じ思いを私もぎゅっと握った。2A綺麗だった。そのあとのステップ、私は自分が動揺していたからきちんと見えてなくって、2度目に見たときに真央さんのものすごい気迫を感じてまた泣きそうになった。突き上げた両手。笑顔のない真央さん。
 今季、3Aを百発着中にすると言い切った言葉。見事にやってのけてくれた。それだけで本当に誰にも真似のできないものすごいことだと思う。3Aはもう真央さんを悩ませるジャンプではなくて、真央さんの一部になったみたいだと思えた。だから。あんなにがんばってきたのだから! という気持ちがまた頭をもたげてきて、それでまた悔しくなる。
 オリンピックが始まる前には、金メダルじゃなくってもいいって思っていた。真央さんが笑顔でいてくれればそれでいいって思っていた。その気持ちに、今も変わりはないんだけど、ううん。やっぱり変わってしまった。負けたくなかった。誰にも負けたくなかった。すごく努力してきた真央さんに金メダル。やっぱりオリンピックでの勝負というのは、世界選手権とは全然違っていて、オリンピックはオリンピックなんだなとわかってしまった。この悔しい気持ちは次のオリンピックでしか果たせなくて、また4年間、長いようであっという間なのかもしれない。
 でも、今日は悔しい。悔しくて泣くなんて何年ぶりなんだろう。