◆ひとさしゆびと風の温度。

かぜよみ(初回限定盤)(DVD付)

かぜよみ(初回限定盤)(DVD付)

 坂本真綾さんのNew Album、ようやく聴けました。あえて言わなくってもいいくらいアグレッシブな『トライアングラー』に始まって、疾走感のある曲、ポップにはじける曲、そして、なんといってもしっとりと歌いあげる真綾節が聴ける曲と、すごく振り幅の広いアルバムになっていました。
 「さいごの果実」や「雨が降る」のようになんとなく憂いを帯びた、どこかしっとりとした水気(?)を感じる曲が真綾さんの曲の一番の特徴だと私は思うのですが、逆にすごくポップで元気な曲も真綾さんらしいと思うのです。その両方がバランスよく配置されていて、アルバムとして大きさというか成長というのか、拡がりを感じました。
 歌詞のところどころにはっとするような言葉が散りばめられていて、それはまるでもみの木に光る水滴のような清らかさなのです。どこか刺激的でそしてやさしく包む香りを放つ、一粒のきらめき。受け取る人によって、いくつもの意味が現れては消えて、そして心に落ちていくような言葉。心地よさと揺さぶりのまんなかにあるような、不思議な感覚。
 タイトルの「かぜよみ」。私の中の「かぜよみ」はこんな感じ。ひとさしゆびの先をぺろっとなめて、風の方向を温度で感じる。自由なわりには感覚的に自然に近い感じ。