ブラジルGP決勝。

 昨年もどっきどきの展開でしたが、今年は昨年を上回るどきどきぶりで、きゃーっとか、わぁーっとか奇声を発しつつ観戦。
 グリッドはマッサ、トゥルーリ、キミ、ハミルトン、コバライネンアロンソの順。スタート直前に雨が急に降ってきたために、10分間のスタート遅延。路面はかなりのウェット状態。セクターによってはドライコンディションだったりと難しい状況。すべてのマシンがレインタイヤでスタート。キミが多少出遅れたように見えたようなスタートでしたが、順位変動はなし。後方でクルサードと中嶋の接触によって、SC導入。このレースで引退したクルサードの走りが見れなくて残念でした。SC後、徐々にドライコンディションに移行。早いチームはドライタイヤに履き替えていくが、順位が上位のチームはなかなか動かない。アロンソはいち早くドライタイヤに。そのあとマッサ。トゥルーリ、キミ、ハミルトンはその1周後にドライタイヤに。履き替えるのが1周遅れたために、ベッテルアロンソフィジケラがマッサとの間に入って混戦模様。
 マッサとベッテルが次々にファステストをたたき出して行く展開に。ベッテルが早めにピットイン。それぞれにピットインして順位が固まったときには、マッサ、アロンソライコネン、ハミルトン、ベッテルという順だった。そのまま周回を重ねて、残り7周のところでさぁっと雨。これによってこんどはレインタイヤに履き替えるマシン。コース上に留まったグロックが4位となったために、ハミルトンは5位に。ワールドチャンピオンぎりぎりのラインに追いつめられ、ここから、この後からがものすごい展開に。
 5位ハミルトンの後ろは6位ベッテルベッテルはこのレースものすごく動きが良かった。ハミルトンに迫るベッテル。そして、果敢にオーバーテイクを挑んでいく。「いけ!ベッテル!」ついつい握り拳。そして、残り2周でとうとうハミルトンをオーバーテイク!! 「さすが!ベッテル!」興奮のるつぼに。6位に落ちたハミルトン。この時点でマッサのワールドチャンピオンがはっきり見えたのだ。あり得ないと思えた展開で、このタイミングで。そして、ベッテルはハミルトンを押さえ続けた。マッサがチェッカーを受け、残るはハミルトンの順位だけだ。はらはらしてみていると、なんとグロックが最終コーナーで失速している!! ハミルトンがグロックを交わしたために、ハミルトンはぎりぎり5位でチェッカーを受けたのだった。この瞬間に、ハミルトンのチャンピオンが決定。あの最終コーナーまで見えていたマッサのチャンピオンはいっきに消え去った。歓喜に沸いたフェラーリがすっと醒める瞬間が切なかった。
 あのラスト2周。あの勝負はF1の歴史の中に残るものになったと思う。2段階でどんでん返しされるとは、さすがに思っていなかったからだ。それにしても、ベッテルのあの勝負強さには惚れてしまう。これからが楽しみなドライバーだ。そして、グロック。最後の最後で鍵を握ることになってしまった。ブラジルで見ていた方はいろんな気持ちを味わったレースだったと思う。会場の雰囲気は1つになっていて、予選もスタート前もチェッカー後もとても素敵な空間を作り上げていた。ブラジルのみんなの声がテレビから届いていた。とても素晴らしいレースだったと思う。
 あまりに興奮したので、深夜にも関わらず、レースを反芻してしばらく眠れなかった。今年のレースを振り返るとほんとに、いろんなことがあった。フェラーリフェラーリらしからぬミスをしたり、ハミルトンのドライビングでもめたり、トロ・ロッソベッテルが優勝し、その後も活躍を続けたり、ルノーアロンソがまさかの2連勝だったりと。本当にいろんな人にいろんな見せ場があった。その意味で目まぐるしいシーズンだったようにも思う。シンガポールでのナイトレースも新たな試みとして、面白いレースだった。
 私が応援していたHondaは今年はどん底の成績になってしまい、入賞を見ることもなかなかなかったけれど、これも来年にかけているからだと信じることにしよう。最後数戦のバリチェロの走りは果敢なものだったし、あの3位は奇跡的だった。来年のラインナップが気になるところだが、とにかく、もうちょっと他のマシンと戦えるところまでもっていってほしい。来年も興奮がたくさん詰まったレースを期待しています。