◆タチコマな日々。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [DVD]

 攻殻機動隊に続編があったとは知らなかったので、見付けた瞬間うれしかった。私が近年見たアニメの中では一番面白いアニメシリーズ。なんといっても大人が大人として楽しめる作品です。映画もテレビシリーズも見ているのですが、漫画は(たぶん)読んだことがなくて、時代設定についても後追いで調べました。すごく複雑な設定なんですよね。
 今回のSolid State Societyはかなり社会派なテーマ。児童虐待と少子化と高齢化が引き起こした一つの可能性としての世界を描いています。この国が辿っていく道を想像するとこの未来はあり得るもの。こういう事件として取りあげられることになるとは思いませんが、正義感の強い権利者が表れれば、この選択もあるとは思うのです。トグサがあまりにも頼りがいのあるリーダーになっていてびっくりしましたが、中盤以降、少佐が活躍してからはいつものアクティブさが感じられました。特に後半の解決部分はスピーディで面白かったです。
 ネットの社会の大きさ、人々の無意識でさえも集合体となると一つの方向として集約していくもの、そしてそれを上手く操る誰か。人間と人形との境界があまりにも近すぎて、ゴーストと呼ばれる魂でさえも、人工的に作り出されるような気がしてしまう。身体だけを乗り換えて、まるで別の人間のように振る舞う社会。それは、今でもあり得ることなんじゃないだろうか。ただ、姿としてではなく、実態なき存在としてあるだけで。線で人々の心を繋いだら、きっと淋しくはなくなるのだろう。でも、自分を確立することは難しくなるだろう。それが『心』という実態なきものにすがるしかない存在である以上、不確かなものであることは間違いないんだ。そして、それが社会を形成する。自由であろうとすればするほどに、規制が重んじられる。どんなところにもどんな世界にもバランスが要求される。危ういバランスの中で、自己を見い出し、幸せを求める。何が幸せかもわかりはしないけれど。