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◆3部作が揃っていない読書記録。

児童書

 原作は完結しているのですが、3作目の日本語版が出版されなかったので、続きを読むことができずに、書いておいたままになっていた児童書の記録を載せておきます。英語がもうちょっと読めたら、原書で続きが読みたいところだけど。

アイスマーク 赤き王女の剣

アイスマーク 赤き王女の剣

 アイスマークのたった一人の跡継ぎシリンは14歳。勉強することよりも剣術や戦術を学ぶことがすきな女の子。アイスマークは帝国ポリポントゥスの将軍スキピオに攻撃されようとしていた。民衆を率いて国を出ることになったシリン。そして、父は命をかけてその敵を食い止めた。しかし、帝国の再侵攻は時間の問題であり、父が残してくれたわずかな時間にシリンは、いままで敵だった国との同盟を結ぶ決意をする。最少人数で敵国に赴くシリン。気まぐれなヴァンパイヤ、雪豹、人狼、森の神々。自分がおそれていた存在とまっすぐに対峙し、偽りのない言葉で語りかけることによって、彼らとの同盟を成立させる。
 シリンは感情的、行動的になりすぎる気性の荒い女の子だが、それをサポートする魔法が使えるオスカン、サラマンの存在によって、国を守る強さを得ていた。戦闘シーンでの雪豹が怖いくらいに神々しい。本としても厚かったが、内容もかなり重たい。読んでいるとどんどん何かが重くなっていくようなそんな圧迫感が感じられた。もう少し、シリンとオスカンが恋に傾いて行くのかなと思っていたのだが、それほどでもなくがっかり。中盤のシリンの父の生き様が一番印象に残っている。

アイスマーク2 炎の刻印

アイスマーク2 炎の刻印

20年後、女王シリンはオスカンとの間に5人の子どもをもうけていた。帝国ポリポントゥスの将軍スキピオ・ベロルムはシリンへの復讐を遂げようと万全の体制でアイスマークに進軍してきた。末の息子シャルルマーニュは足を障害を持ち、戦士になる夢を断たれたと怠惰になっていた。そんなシャルルマーニュにシリンは民を率いて、南の国へ出向き援軍を要請するという使命を与える。アイスマークの人々とともに同盟を結んだ雪豹、人狼、フクロウ、ヴァンパイヤが必死になって抵抗するが、ベロルムは空からの攻撃を必要に繰り返し、アイスマークの都市は1つづつ落ちていった。シリンの次女メディアは才能のある魔女であったが、シャルルマーニュに対する嫉妬から、自分の弟を陥れようとし、兄を死に追いやった。その後も自分を認めない王族を滅ぼそうと魔術によって邪魔をする。シャルルマーニュは無事に南の国にたどり着き、メフメトという親友を得て、自信も取り戻し、戦士としての才能を発揮する。南国の援軍を連れてアイスマークに帰郷したとき、アイスマークは風前の灯火だった。新たな援軍を得て盛り返すアイスマークと同盟軍。ベロルムはシリンによって倒された。そして、メディアは父オスカンの手によって「闇の国」に送られる。
 シャーリーとメディアの確執が最後までストーリーに緊張感を与えていた。シャーリーは南国の色鮮やかで乾いた砂の世界を旅し、逆にアイスマークは雪と戦いと炎に包まれていた。そのギャップも飽きさせない要因だった。シャーリーが逞しく育っていく過程は読んでいても面白くて、どんどん前に進みたくなった。自信をもって交渉に当たる姿は1巻のシリンの姿と重なってみえた。母としての弱さも強さも見えたシリン。まだまだ若く勝ち気な王位継承者の長女クレシダ。大いなる魔法のチカラと闇への誘惑をはねつける強さを持っているオスカン。双子の死から立ち直ったエオドレッド。1人世界が違うメディア。とにかく個性的なシリンの家族。印象的だったのはヴァンパイヤの王。かなりしぶしぶと戦闘に加わったのだが、最初の戦闘ではものすごい大どんでんを演出し、そして、死を迎えた。子どもを持つ夢を語る姿も最後の最後まで毅然と戦う姿も際立っていた。后は王の死後、国に戻ってしまったかに思われたが、復讐を遂げるために仲間を連れて戻ってきた。その強さにも驚かされる。
 今回も分厚かったがどんどん読み進めてしまうとてもよい作品だった。戦闘シーンもリアルで、登場人物の醜さも清廉さもそのままに描き出されている。3巻が待ち遠しい。

 こちらは3部作の1作目。1作目は面白かったのだけど、2作目がいまいちだったので、3作目を読んでなくてそのままになっていた記録。

シルバーウィング (銀翼のコウモリ (1))

シルバーウィング (銀翼のコウモリ (1))

 コウモリのシェードが主人公。コウモリの生活なんて考えてもみなかったのだが、最初から詳細で鮮やかな描写が続いて、気が付いたらコウモリの視点で世界を見るように物語に入り込んでいた。コウモリだからこそ世界の明るさが一段と増して見え、いろいろな風景がいままでと違ってみえてくるのだと思う。動物と鳥との間に起ころうとしている争い。その引き金はゴスというアフリカ生まれのコウモリだった。ゴスの手から逃げ延び、無事仲間のところに辿り着いたシェードはいままでのチビではなくなっていた。父やバンドの謎も残っているので今後の展開も楽しみ。流れるように読み進めることができる文句なく面白い作品。