崖の国シリーズ。

 一冊、一冊はとても分厚くて、読み終わるのに時間がかかるかなぁと思っていましたが、あっという間に読み終えてしまいます。

崖の国物語〈1〉深森をこえて (ポプラ・ウイング・ブックス)

崖の国物語〈1〉深森をこえて (ポプラ・ウイング・ブックス)

 切り立った崖のある「崖の国」。そこには広大で神秘的な「深森」が広がっていた。深森に住むウッドトロル族の1人、トウィッグが主人公。挿絵を描かれておられるクリス・リデルさんと2人で作り上げた世界ということもあって、この物語では他の作品よりも挿絵が重要だと思います。奇想天外な様々な生き物や登場人物たち。挿絵があることによって、想像もより明確になるし、とにかく次にどんな生き物が出てくるのか楽しみでなりません。「崖の国」の設定も本当にびっくりするような形状です。表紙の裏に地図があるのですが、見るだけでわくわくしてきます。次々に襲ってくるアクシデントも、楽しめてしまうところがこの作品の面白さなのでしょう。

崖の国物語〈2〉嵐を追う者たち (ポプラ・ウイング・ブックス)

崖の国物語〈2〉嵐を追う者たち (ポプラ・ウイング・ブックス)

 神聖都市サンクタフラクスは大きな鎖で繋ぎとめられている浮いている都市。しかし、地上町は鎖作りのために汚染されていくばかり。浮遊石とのバランスをとるために必要な嵐晶石を探しに嵐の中に旅だつことになります。主人公のトウィッグがかなりしっかりしてきました。いろんな陰謀が渦巻く世界では、弱みになりそうなものはすべて利用されてしまうものです。でも、そんな父の重荷になりたくないと考えたことが裏目に出たり、そして結果的には思いがけない成果に繋がったりするものです。翻弄されながらも自分の主張を通していく強さが見えます。本当に途中までどうなることかと思ってはらはらさせられましたが、ラストは驚くくらいに上手くいっていてやられたなと思いました。光博士がお気に入り。

崖の国物語〈3〉神聖都市の夜明け (ポプラ・ウイング・ブックス)

崖の国物語〈3〉神聖都市の夜明け (ポプラ・ウイング・ブックス)

 トウィッグは父である空のオオカミを探しに「大いなる嵐」の中心に向かっていく。そこではいろんな知識が渦巻いていた。そして、崖の国の生命の源である大河の秘密について知ることになります。父を探す旅が続くのかなと思っていたのですが、あっさりと父は消え去ることになってしまい拍子抜けしました。崖の国全体の危機に繋がる情報を得るのですが、主人公はそれをすべて忘れてしまう・・・という展開です。1人づつ乗組員を探して崖の国を渡り歩く主人公。そして、最初に旅を始めた場所に戻ってきます。あのときとは違って、トウィッグはいろんなふうに成長しています。崖の国の危機を救うために遠いところから、サンクタフラクスまで戻る方法については、あまりに奇想天外なので、思わず笑ってしまいました。これで終わるなんてもったいない世界観だなと思っていたら、続きがあってうれしい。