童話物語

童話物語

童話物語

 面白い作品でした。お薦めです。今は2冊分冊の本も刊行されているようですが、私は1冊版で読みました。分厚くてちょっと尻込みしていましたが、読み始めると止まらなくてラストまでどんどん読み進めることができました。作品の世界観がとてもしっかりしていて、街の細かな情景や設定も、独自の要素を含んだ世界を打ちたてています。ペチカという女の子は最初は好きになれないところもありましたが、彼女が少しづつ変わっていき、フィツも変わっていき、そんな登場人物の成長がこの話の魅力だと思います。旅を続ける中で出会う人々、不信感しか持っていなかったペチカですが、ゆっくりと周りの人々の暖かい心に触れて、この世界の優しい部分をみつけていきます。そして、ペチカの心もまあるくなっていきます。トゲだらけで痛いくらいのペチカの心、今では人を信じることも、過去を思い出すこともできます。妖精の世界は永遠の時間、でも地上での生活は限られた時間。その違いはどこにあるのでしょう。永遠という一種の鎖。そして、限られているという自由。人の良い部分が変化していいけることならば、それが良い方向に向うことを望むばかりです。誰だって自分が思っているよりはすごい人なんだという、その言葉が1番、胸に残っています。