イタリアGP決勝。

 すごいレースだった。ティフォシの想いがカタチを作ったんじゃないかと思うくらいに赤く燃えていた。表彰台の下が真っ赤に染まって、ミハエルの見たこともないようなくらいにうれしそうな笑顔を見ていたら、不意にミハエルは引退するんだと思えた。ミハエルの何かがそう感じさせていた。だからこそ、今このときはこんなにも赤く輝くんだとわかってしまった。わかってしまったら、涙がでそうだった。レース後の会見でミハエルは開口一番に引退を告げた。それが意外な気もしたけれど、そうやって一番に伝えてくれたところにミハエルらしさを感じた。まっすぐにテレビカメラに向かって、言葉を繋げる。その瞳の強さに決意が表れていた。そして、ミハエルの横にキミ・ライコネンが座っていることが偶然ではないような気がした。アロンソがそこにいないことも。ミハエルがフェラーリの次のエースとして名前こそ言わなかったけれど、期待を寄せた言葉に対してキミはどんな気持ちで聞いていたのだろうと思う。いつもどおりポーカーフェイスなのでまったく表情は読み取れなかったけれど、キミはフェラーリで新しい一面をみせてくれるのではないかと期待している。今は赤いキミが想像できないけれどね。あと3戦。ポイント差は2。最後まで目が離せない。ミハエルが残り3戦でみせてくれる走りがどんなものなのかとても期待している。そして、それを受けて立つアロンソの姿にもすごく楽しみにしている。
 レース自体は高速サーキットということもあり、さくさくと進んだ。スタートから5周までは混乱も見られたが、事故もなく進む。2ストップと1ストップが入り交じる中で順位はよく見えてこなかったが、ミハエルとキミが早いことだけは確かだった。ホンダは少しスピードが足りない。ストレートのスピードは今一歩なときが多いように思えるが、今回も上位に比べるとスピードが足りなかったようだ。アロンソを抑え続けていたバトンもアロンソに越されてしまった。ピット作戦で前に出たミハエルがトップ。そのあとに続くキミ。ここまでは予想どおりなのだが、その次がクビサ。え?!クビサ?と思うのだが、これがなかなかに速いし、上手かったりする。何度もマッサに抜かれそうになっていたが、追い越しにくいサーキットとミスしない走りでマッサに先を許すことはなかった。さて、アロンソ。10位スタートだったがスタート時点でするする前に上がって5位。そのあともハードプッシュで表彰台が見えてきた。しかし、突然にもエンジンブロー。残り10周のところだった。あぜん。ミハエルを応援するティフォシの気持ちだけでアロンソをエンジンブローに追い込んだんじゃないかと思う。直後に観客、大喜び。完全にここではアロンソは悪役になっちゃってますね。しかし、アロンソのエンジンブローにより、後ろから付いてきていたマッサをコースオフさせ、再度のピットストップを余儀なくさせたところは、なにか執念めいたものを感じる。マッサはこれにより入賞圏外に押し出されてしまった。そんなこんなで、ルーキー・クビサ、表彰台です。クビサの走りにはこれからに期待できるものがありますね。でも、う〜ん。同じルーキーでもニコ・ロズベルグを応援しておきます。このごろいいところがまったくないのだけど、かわいいからよし(笑)
 今回のイタリアGPは決勝の前にアロンソの予選タイム剥奪問題でなんだか黒い影を見てしまいました。ルールもよくわかってない私が言ってどうしようもないんですけど、厳しすぎかなと。なんだか釈然としないことがF1にはいろいろあるようで、去年のホンダしかり、今年のルノーしかり。そういうのをレース前に見せられてしまうとレースの面白みが半減するので、なんとかならないのかな。ミハエルの引退発表という歴史的な場面の裏で、なにか不思議なうごめきが感じられるのはすっきりしない。モナコのミハエルはさすがにあれはだめだろうと思ったけど、今回のアロンソは邪魔しているようには見えなかった。本気でアロンソもプッシュしてたんだろうしさ。アロンソが5位スタートだったら、このGPも全然違ったレースだったんだろうな。そっちを見たかったよ。