◆僕の中の名前のない怪物。
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: DVD
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ホラームービーをいくつか観て、悪魔というものがカタチとして表されているものは意外に怖くないということに気が付きました。あれが「悪魔」、「こわいもの」。と見せられても日本人にはなじみのないものなので、怖くないんですよね。ジャパニーズホラーの怖さって心の中で作り出す恐怖だと思うんです。人間の心が掻き立てていく恐怖。その方が際限なくて途方もなく怖い。目には見えない大きな恐怖。想像力こそが本当の恐怖なのかも。この作品にも受け手に任されている部分があり、それが恐さに繋がっている気がしました。
作中に出てくる絵本「なまえのないかいぶつ」にしても言葉が怖い。淡々と事実を短文で述べていくにすぎない文章に怖さを感じる。そして、名前。名前というものが、単に「個体識別記号」としてだけではない意味を持つことを知らされるのです。自分を自分としてカタチ付け、世界に繋ぎ止めている鎖なのかもしれません。
いろんな登場人物が弱さも強さも見せるドラマでした。人間の感情や恐れを上手く表現していたし、進行としても前半早かったように思いますが、比較的緩やかでストーリーに置いていかれることなく観ることができました。この作品の原作での表現をこんどは味わってみたいです。