◆現実と仮想現実と。

 自分の今いる世界と、空想の中の世界と。どちらで生きているのが楽しいのか、どちらも楽しくて、どちらも苦しくて、どっちからも逃げ出したいこともある。
 私はいままでの経験の中で、たった一つだけ守りたいものがあって、それが穢されなければ、私は私らしくいられるのだと思っている。私が絶対壊したくない絶対領域ともいえるものを私は作ってしまった。だけど、その代わりに絶対領域ではない、現実や仮想空間での私は、なにを失敗しても、どんなに落ち込んでも、全くダメなヤツでも、それでもちゃんと前を向いて動き出せる。なぜなら、絶対領域の私がまだ、そこにいるからだ。そうやって、私は私を守った。
 今もたぶん、そうやって私は現実からも仮想現実からも、自分を守り続けている。自分を守る手段はたくさんあるとは思うけれど、わたしはそうやってしか、自分を守れなかった。それくらい、弱くて、自堕落で、逃げ出したい気持ちがあるのだ。だけど、立ち向かわないといけないものに目を背けずにいるために、わたしは自分を励ましている。たったひとつの守りたい自分を守り抜くために。