◆悲願のチャンピオンシップ。

 2014F1最終戦、ヤスマリーナサーキットでの決勝。残念ながら、ニコ・ロズベルグ勝利の女神がほほ笑むことはありませんでした。最後は、ハミルトンに周回遅れの14位。あまりにも悲しい結果でした。
 でも、ラスト2周で「ピットに入れ」との無線に「最後まで走りたい」と告げた彼。そして、ハミルトンのいる控室まで来て、ハミルトンを祝福した彼を、私は誇りに思います。途中、モナコとかベルギーとかロズベルグが故意にやったのではないかという話もあって、かなり悪役めいていたのですが、こうやって、F1というスポーツに真摯に向き合っている姿をみると故意ではないと私は信じているのです。だから、ブラジルで優勝したときには、涙もでなかったのに、周回遅れで完走したロズベルグを見たら、なんだか涙が出ていました。そういうものですよね。
 レースはスタートでロズベルグが出遅れたことからすべてが始まったのだと思います。ハミルトンに食らえつこうとし、自分からミスをしてかなりのタイムを失いました。そのあとは、エンジントラブルを抱えて、どんどん遅れていくばかり。焦ったような苛立ったようなラジオもたくさん入ってきましたが、最後までチャンピオンを目指して走り続けました。6位になるともう自分にはワールドチャンピオンシップの可能性がなくなるにも関わらず、それでも、最後まで走ったことが本当に誇りなのです。きっと、自分の中でやり遂げたいという気持ちの方が勝っていたのか、それとも来年もがんばりたいという意思だったのか、なんであっても、本当にレースに大切にしているのだと思いました。
 今年のハミルトンは本当に強くて、タイヤのマネジメントがこんなにいいドライバーだと、今年になってから知りました。正直、勝てる気がしてなかった。でも、それでも勝ってほしかった。それだけなんです。ロズベルグにはワールドチャンピオンは早いという意見もたくさん目にしましたが、でも、来年はそう言わせないシーズンになることを願っています。そして、チームメイトとの仲もこんなに悪化しないでほしい。
 たぶん、来年もハミルトンとのチームメイト関係だとは思います。最高のライバルがいてこそ、レースは楽しいもの。私にとっては今年のレースは最後までどきどきする、とてもエキサイティングなものでした。来年はフェラーリマクラーレンも上がってくるでしょう。チーム間バトルも激しくなって、優勝争いから目が離せなくなる展開であってほしいと願っています。
 2014シーズン、とても面白いF1でした。本当にお疲れ様でした!