ドラゴンライダー その2。
- 作者: クリストファーパオリーニ,大嶌双恵
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2009/03/21
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エラゴンとサフィラは従兄のローランの婚約者カトリーヌを助けるが、エラゴンはその途中で仇であるスローンを見付ける。サフィラたちを帰したのち、1人でスローンへの対処に悩み、決断する。1人で残ったエラゴンを向かえにアーリンが赴いたが、2人の関係は進展はしなかった。帰還後、敵との戦闘になり、エラゴンとサフィラはマータグとソーンと再び戦うことになる。なんとか追い払うのが精一杯だった。
エラゴンはドワーフの次の王を決める場に立ち会うために1人旅立つ。サフィラはエラゴンと離れている喪失感を噛みしめ、ローランは必死に戦いに向かっていた。エラゴンが命を狙われたことを契機にドワーフの王はオリクに決定した。エラゴンはすぐさまサフィラを呼び寄せ、再会の喜びに浸る。そして、エラゴンは自分だけの剣を手に入れ、ふたたび師匠のもとに赴いた。師匠から明かされたのはエラゴンの父はブロムであること、敵のチカラの源がドラゴンの魂であることだった。衝撃を受けつつもエラゴンは敵を倒すきっかけを得てヴァーデンに戻った。そして、師匠であるオロミスが戦闘により命を落とした。
エラゴンは精神的にオトナになりました。自分の出生に関わることにより不安定になりつつも、自分がどうしてここに産まれてきたのか、生きていく意味について、しっかりとした立場をとれるようになったと思います。恋愛についても、ほとんど不死に近い寿命を生きることになったエラゴンは、人間と結婚して喪失感を味わうよりもエルフとの長い関係を望むというくだりがあり、このあたりは子どもではない強さや考えが伺えるところでした。とにかく強すぎる印象であったガルバトリックスに勝てる見込みが少しだけ出てきました。
エラゴンとサフィラとの結びつきは一心同体といってもいいくらいで、お互いの違いも含めて、なくてはならない存在となりました。また、廻りの人々も政治的な駆け引きや立場はありつつも、それぞれが生きていこうとする強い力を感じます。戦闘シーンが多い中で、エラゴンがエルフの国でじっくり自分の心を見つめているシーンが好きです。
インヘリタンス 果てなき旅 上巻 (ドラゴンライダーBOOK4)
- 作者: クリストファー・パオリーニ,大嶌双恵
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2012/11/15
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インヘリタンス 果てなき旅 下巻 (ドラゴンライダーBOOK4)
- 作者: クリストファー・パオリーニ,大嶌双恵
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2012/11/15
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ガルバリックスの本拠地への戦いが激化する。ドラゴン殺しの槍を手に入れたりと有利になった部分もあったが、戦いが長引くにつれて兵士の疲労も蓄積し、仲間たちの結束にもほころびがみられるようになった。ドラス=レオナの攻略の最中、ヴァーデン軍を率いていたナスアダが拉致される。悲嘆にくれる中、エラゴンは一縷の望みを求めて、ドル・アリーバへと赴く。そこには、ガルバトリックスに組しないドラゴンの魂と多くのドラゴンの卵が保管されていた。心強い味方を得て、ヴァーデン軍に戻ったエラゴンは、とうとうガルバトリックスとの決戦に挑む。
ヴァーデン軍優位に進められていた戦いは、バースト卿の登場によって帝国軍優位となり、ローランも死の淵に立たされる。エラゴンは謁見の間で、ガルバトリックスとシュルーカンの圧倒的な力の前に、なすすべがない。異父弟であるマータグとの決闘、そして、最後の最後にガルバトリックスになぜみんなの気持ちが届かないのかという、素直な気持ちを巨大な魔法としてぶつけたことでガルバトリックスを倒すことができた。シュルーカンはアーリアが死の槍で葬った。ガルバトリックスを破ったヴァーデン軍はナスアダを女王とし、エルフはアーリアが女王となった。そして、アーリアはドラゴンの卵から選ばれたドラゴンライダーともなった。だれよりも強い力を持つことになったエラゴンは、ドラゴンの魂とともにアラケイジアを去る。
戦闘シーンとナスアダの拷問シーンが大半だったので、読むのにかなり疲労しました。ガルバトリックスを倒すシーンは結構あっけなかったな。派手な戦闘ではなくて、心と心のぶつかり合いだったり、善悪について語られることが多くなって、静かで激しい戦いになってしまったからかもしれないけれど。興味を引いたのはガルバトリックスを倒したあとの主人公の処遇。「指輪物語」に影響を受けているというだけあってラストも同じ雰囲気になってしまったのは否めないが、そうするしかないのだろう。絶対的権力者を倒したチカラある若者はそのままの世界にいては、均衡を逸するとしか言えない。若いドラゴンライダーを育てる役割を果たすという使命は帯びているものの、隠遁する感じだし。アーリアとの恋もかなわず、そういう面での精神的成長も見たかったのだが、それもなくなってしまった。こういう終わりにするしかないとわかっていても、もう少し大団円的な部分もあってもよかったのではないかと思ってしまう。主人公がダメなら、マータグでもいいのに、すべてのカップルが破たんって、どういう…。面白かったけど、ラストをもうちょっと楽しませてくれてもよかったのにと、正直思います。
表題「インヘリタンス」は「継承」という意味。エラゴンの真の名前と思っていいんだろうな。