タラ・ダンカンシリーズ。

 前巻までの感想はこちら(id:nanayana:20070906)。毎回、表紙のイラストがとっても楽しみ。 

タラ・ダンカン〈5〉禁じられた大陸〈上〉

タラ・ダンカン〈5〉禁じられた大陸〈上〉

タラ・ダンカン〈5〉禁じられた大陸〈下〉

タラ・ダンカン〈5〉禁じられた大陸〈下〉

 前半は魔力を失い、普通の女の子として暮らすタラのお話。お世継ぎ皇女様だということを隠すために変装までして、いろんなことを我慢しつつも新しい生活をしているのだけれど、やっぱりストーリーとしては欲求不満。そこに、タラの友達ベティを助けるために"禁じられた大陸"にいくことになったタラ。魔力も回復し、いつものメンバーもこっそり着いてきて、そこからがいつものわくわくする様なストーリーの始まり。探し出したベティはすっかり変わってしまったかに見えたし、オオカミ人間はいるし、女王は強敵だしということで、ほんとに上手く終わるのかなぁ?と思うくらいの展開でしたが、ミラクルな魔法のチカラですぱっと解決するところは、読んでいてほんとに気持ちよかったです。5巻になって登場人物たちの恋愛も動きだし、いろんなカップル、カップル候補が登場。タラもロバンとそう簡単にうまくいくわけもなく、恋敵も現れておもしろくなってきました。

タラ・ダンカン 6  マジスターの罠 上

タラ・ダンカン 6 マジスターの罠 上

タラ・ダンカン 6 マジスターの罠 下

タラ・ダンカン 6 マジスターの罠 下

 上巻はセレンバを助けるためにドラキュラの国へ行くことになったタラたち。タラの目的は悪魔のチカラを秘めた宝を探すことだった。セレンバを助けるために、大きな力を使ったタラは人間の血に犯されてしまったドラキュラすべてを治療した。そして、いつのまにかその指には探していたはずの指輪があった。下巻ではカルが思いを寄せていた女の子エレが殺され、衝撃的な幕開け。ドラゴンの新しい王の戴冠式に参列することになり、ドラゴンの国でマジスターと出会うことになった。マジスターが語ることはいままでのマジスターの印象とはまったく違っていて、ただの悪人ではなさそう。ドラゴン内部での陰謀、タラが窮地に陥り、ラストはファブリスがマジスターと逃亡!と、ラストは怒濤のとんでもない展開で、続く次巻。
 ファンタジーものの悪役の中でマジスターは少し異質な気がしていたのですが、この巻を読んだらラスボスはマジスターではないんだなと思いました。マジスターはタラのお母さんに恋しているし、妙に血の通った人間的な部分が多いのです。だから、いままでのマジスターの人生が語られるシーンでは、やっぱりこの人は悪役ではないと確信しました。当面、タラの敵というポジションだと思いますが、マジスターを倒すことがタラの最終目的にはならないのではないかと推測しています。なんせ、マジスターのパワーの源は尽きかけているのに、タラの方はいくらでも使い放題なので、ラスボスとして差がありすぎだと思います。
 タラとロバンの恋は今回もかなりいちゃいちゃ。ファブリスとモアノーの恋が違う結末に動いてしまって、ちょっと意外でした。一番活躍していたのはカルのような気もします。ラストのあたりはかなり残酷なシーンもあったり、政略的な事柄があったりして、いわゆるファンタジーな児童書ではない部分も含んだ作品だと思います。

タラ・ダンカン 7 幽霊たちの野望 上

タラ・ダンカン 7 幽霊たちの野望 上

タラ・ダンカン 7 幽霊たちの野望 下

タラ・ダンカン 7 幽霊たちの野望 下

 タラが父を蘇らせるために作った水薬とカルが好きな人を蘇らせるために作った水薬が作用して、幽霊たちが世界に入り込んできてしまった。オモワは幽霊たちに身体をのっとられた人達に操られることになる。最大の危機を作り出してしまった上に、恋人のロバンを死なせてしまったタラは自暴自棄になる。それを救ったのはカル。そして、幽霊たちを撃退する装置を探しにいくことに!
 なんだかいろいろ唐突に話が動きました。最大の敵だと思っていたマジスターがあっさり死んでいたりして、しかも幽霊になってリスベス女王の身体を乗っ取って悪巧み。ラストに追いつめるもののさらっと逃げられてしまう。マジスターもタラママに骨抜きになっていたりして、悪役っぽくないんだよなぁ。そして、タラの冒険の同行者はアンジェリーナとシルヴェール。新キャラのシルヴェールはとってもかっこいい上にマジスターの息子!という仰天のドラゴン(しかも、育ての親は小人)だったりして、謎めきすぎています。タラとロバンのカップルがいまいち盛り上がりにかけるカップルのような気がしていたので、ロバンがあっさり死んで、シルヴェールにぐらつくタラにそのままくっついちゃえ!と思ってしまいました。このあとのこの3人の三角関係は面白そう。
 タラパパが幽霊で登場。なんだかかっこいいんだか、頼りないんだかで、死の真相も明かされていましたが、なんだか…という感じ。今回もカルがかなり大活躍。私はカルが一番好きなキャラなので、ここまでストーリーをひっぱっていってくれたのはうれしかったな。大どんでんでカルとタラのカップルを願っていたりするくらい。いきなりラストで地球行き決定。しかも次の巻の展開までちらっと明かしてあるのが、上手いなぁと思ってしまいます。