クロニクル千古の闇シリーズ

 シリーズ前半はこちら(id:nanayana:20070613)

追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)

追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)

 今回もじっくりと読ませてくれる作品。魂食らいの印を付けられたトラクは一族から追放される。1人であることの心細さ、不安を抱え、トラクはじんわりと罠に落ちていく。そんなトラクを救ったのはレンの魔法だった。トラクがどんな状況にあっても、レンとウルフはそばにいた。自分というカタチがわからなくなったときでも救ってくれた。ウルフにとってもトラクを選ぶことによって狼の群れと決別することになってしまった。しかし、それがウルフが選んだ道なのだろう。
 湖に引き込まれそうになるシーンやトラクが自分を失っていく場面はかなり重たく、暗い場面ではあるが、トラクが自分を取り戻し、生きていこうとする強さを見せてからはいっきに物語も開けてスピード感が増しました。トラクやレンの成長、そしてその中でいかに生きるのかという大きなものをしなやかに描いている作品だと思います。

復讐の誓い (クロニクル千古の闇 5)

復讐の誓い (クロニクル千古の闇 5)

 衝撃的な始まり。友達を殺されたトラクが復讐の誓いをたて、魂食らいを追いかけていく。追いかけているはずなのに、追いつめられてもいて、1人がむしゃらに前に進もうとするトラクが読んでいて辛かった。レンとウルフはそんなトラクに戸惑い、何度か別れ別れになりつつも、お互いに自分の運命をまっすぐに生きようとしていた。
 トラクは自分が産まれたその場所にたち、母の想いを知り、レンは魔導師としての自分を認めた。ウルフはトラクが狼ではない事実を知り、大きく戸惑うが、ラストでは感動的なシーンで群れの仲間としての自分を見付けている。この巻でそれぞれが大きなものを代償にしつつも、たくましく成長していた。野生の馬にまたがり、蹄の音をとどろかせてレンを助けにやってくるトラクの姿が象徴的だ。

決戦のとき (クロニクル千古の闇 6)

決戦のとき (クロニクル千古の闇 6)

 最終巻。最初から最後まで重い空気が支配している。灰色のガに象徴されるように、静かに降り積もっていく不安。寒さと飢えの中で決着をつけようとするトラク。『魂食らい』の本当の目的が明らかになり、トラクは父の霊に心惑い、引き裂かれようとする仲間達。
 お互いを思い合う気持ちから離れようとし、それでも離ればなれにはならなかった運命的な絆。レンがいうようにもう少し、みんなで立ち向かっていってもいいのではないかと思ってしまうほどだった。ラストはそれほど劇的ではなく、静かに幕を閉じる。最後の最後までトラクとレンの関係が曖昧だったのがやきもきさせた。すでに来た箇所であっても、その意味合いが違っていた。それが成長の証だった。