松本隆の40年。

 情報がメールで飛んできていたので、忘れずに見ることができた。
 kinkiのお二人と松本さんの対談で一番印象に残ったのは、「どれが遺作でもいいように」という言葉。ものすごく重かった。その言葉を聞いてから「スワンソング」の歌詞を見ると、ものすごく詩から受ける印象が違っていて、それはもう、この命の全部をかけるくらいの、そんな最後の一声が悲しいくらいの美しさで迫ってくるように思えるのだ。
 繊細で切なく、壊れそうな現在。なんとなく松本さんが作る歌詞からはそんな空気が流れているような気がしていた。それは「硝子の少年」の歌詞からくるイメージが大きいのだと思うけれど、それがkinkiに対する松本さんの答えの1つじゃないのかなと思っていた。光一さんの質問がそんなふうに始まっていたのも、kinkiに対する松本さんの想いを聞きたいのだなと思えた。表現者としての普段とのギャップ。胸の中に抱えた思いを表すときの開放感。
 短い言葉の中に託すことのできるイメージがこんなにも大きく本当に立体的に迫ってくるのは、松本隆さんという才能なのだと思えた。本当に時代を超えても色褪せずに新鮮な気持ちを歌に載せることができる。