イタリアGP決勝。

 予選から決勝までいろいろ楽しいGPでした。予選はQ2でバトンがトップタイムを出して、好調な仕上がりをアピール。Q3では燃料を重く積んでくる作戦をとるだろうと予想されていたので、バリチェロ5位でバトン6位というのもいいポジションだなと思いました。スパに続いて好調のフォースインディア。スーティルフロントローの2位。ハミルトンがきっちり決めて1位。車体重量を見るとハミルトンスーティルライコネンは2ストップ作戦。コバライネン以下は1ストップ作戦と戦略が分かれている様子。これはレース中も楽しみだなと思いました。
 決勝。1コーナーまでの距離が長いのでKERS車が有利と言われていましたが、意外に順位変動はなく、バリチェロコバライネンが入れ替わったくらいでした。スーティルがポジションキープしたのはすごい。後ろから来ると怖い存在のアロンソに抑えられることもなく、バトンは1周目でコバライネンを抜き去り、これがこの後のレース展開に大きく響くことになりました。あまりタイヤが温まっていない1周目ですが、それでもバトルを仕掛けられるというのはブラウンのマシンが調子いいからなのかなぁと思います。そのあとも5周目くらいまでいろんなところでバトルが繰り広げられて、面白い。リウッツィがストレートでコバライネンを抜くシーンではフォースインディアのストレートスピードがあまりにも速いことを実感させられました。ウェーバーが早々にリタイア、ベッテルもマシンの挙動が安定せず辛そうです。
 ハミルトンがどんどんペースを上げて1ストップ目。きっちり仕事をこなしている感じでしたが、バリチェロ、バトンのブラウンGPの1ストップ作戦が効いたようで、ハミルトンを逆転できるタイム差を稼いでいきました。見かけの順位と違うのですが、こういうバトルも見応えがあります。それぞれに目の前にいない相手とのタイム差を考えて、プッシュしているんですよね。ブラウンはピットストップもきっちりこなしてきました。バトンが9.1、バリチェロが8.6という迅速タイム。そのあと2ストップ組のハミルトンたちがピットストップを終えて出てくると、バリチェロが1位、バトンが2位という順位に。ハミルトンはここからも諦めずに猛プッシュ。最後の最後までかなりの勢いでした。ライコネンは終始スーティルに追いかけ回されている状況。抜かれることはなさそうには見えましたが、かなりの接近戦でした。
 そうこうしているうちにラスト1周。このままの順位で確定かと思っていましたが、最後の最後でハミルトンが縁石に乗り上げてクラッシュ。SCサインが出たままでフィニッシュでした。バリチェロ、バトン、3位が転がり込んだのはライコネン。さすが、フェラーリの聖地、ティホシさんたちの願いが何かを変えたのかもしれないと思うような劇的なラストでした。今回からフェラーリフィジケラは9位。さすがにバドエルより上ですね。マシンが変わるとドライビングも変えないといけないので、すぐに結果というわけにはいかないのかもしれません。
 表彰台でもインタビューでも仲良しさんなバリチェロとバトン。キミがインタビューに答えている間に横でなにやら話している2人。マシンを降りてから、お互いを称え合ったり、シャンパン掛け合ったり(ライコネンはやっぱりかけるより飲んでいた)、終始うれしそうでした。バトンが笑顔になるのはほんとに久しぶりなので、少し緊張が解けて、これが次への結果になりそうだなぁと思いました。ブラウンの2人はやっぱりバリチェロが言っていたように「仕事がないかと思っていたような状況からの今」ということなので、喜びもひとしおなんだと思います。バリチェロはお父さんな側面も見せて、子どもへのパフォーマンスもありました。見せかけじゃなくて、ブラウンのドライバーはライバルで仲間なんだなぁと思っています。