ブラジルGP決勝。

 とにかく全てがミハエルに染まったレースだった。引退レースというだけではない、ミハエルの全てが刻まれていくような周回だった。マッサが優勝し、アロンソがタイトルを取ったが、それ以上にミハエルの姿が際だっていた。これほどのレーサーはきっとこれからも出てこないに違いない。これほどの存在感はもう感じられないに違いない。これが皇帝のラストランだときっと多くの人の心に刻まれたことだろう。
 ミハエルのリアタイヤがパンクしたときにはこれで全てが終わったと思った。最終レースがこんなカタチで終わるなんて残念だと思っていた。しかし、ミハエルはそこから4位まで追い上げた。周回遅れになり、最後尾から追い上げたのだ。とんでもない。そのスピードもテクニックもこれまでミハエルだった。攻めに攻めるミハエルの姿勢だった。燃料を満タンに積んで重いはずなのに、それでも最速。どんどん早くなっていくミハエルの走りから目を離せなかった。オーバーテイクショーが繰り広げられている。フィジケラにてこずったものの、バリチェロでさえも簡単に抜かれてしまったし、キミとの勝負は心躍った。まさかインから抜くなんて思ってもみなかった。思い切りよく飛び込んで、キミとミハエルがまさにサイドバイサイドな光景を忘れることができないだろう。すべてのセクターのファステストをミハエルが塗り替えて、チェッカーフラッグを受けた。勝負に対する諦めない姿勢、貪欲さ、そして素晴らしいテクニック。やっぱりなんだかんだいってもミハエルは皇帝なのだ。ミハエルをもう見ることがないということがまだ実感できないが、本当に素晴らしい走りをありがとう。ミハエルの走りはやっぱり最高だ。
 で、アロンソ。彼も相当にすごい。F1のありとあらゆる政治的圧力にも屈せず、2年連続のチャンピオンだ。ミハエルとの勝負も今年も何度も見られたし、本当に王者アロンソの走りを見せていたと思う。彼の精神力と素晴らしい技能はこれからも楽しみだ。なんとなく、今年は悪役になってしまっていたが、それでこそ強さというものだろう。盤石過ぎる走りには安定が感じられるまでになっていた。その彼の涙声が印象的だった。マクラーレンでの彼がどんなドライブをするのか来年も楽しみだ。
 そして、バトン様(笑) ものすごいよ、すごすぎる。14位スタートから3位表彰台。ホンダがこんなにすごくなっているなんて正直信じられない。ハラハラするのに慣れている私にとっては、バトンがアロンソを追いつめているという現実さえも信じられないほどだった。ピットでミスをするのではないかとかエンジントラブルに見舞われるのではといくつも心配要素が頭に浮かんだが、今年の後半のホンダはそんなミスはない。やっぱりハンガリーの優勝からかなり変わったのだと思う。すごくレースできている。言い方としては悪いのかもしれないけど、心配事をする必要なくレースを楽しんでみることができるようになってきた。最高の今年の締めくくりだ。オールホンダ体勢として初めての年だったけれど、バトンの初優勝あり、結果としてはコンストラクターズも4位だったし、低迷していた中盤を除いては楽しみなレースばかりだった。こうやって最後のレースではフェラーリは別格としても、ルノーマクラーレンとは互角に戦っていたし、そこまで来たんだとはっきりわかった。ほんとに優勝争いできるチームになったんだって。これまでは優勝なんて雲の上と思っていたのに、はっきり見えて手が届くところまでに来ていた。ここまで来たことが本当にうれしいし、来年が楽しみでならない。バリチェロも来年はもっとホンダとの相性もよくなるだろうし、活躍するだろう。表彰台の常連、そしてまぐれじゃない優勝、期待してます。
 スーパーアグリもすごいよね。佐藤琢磨さん10位だよ、10位。今年最初のレースに出れるかでれないかと言っていたくらいせっぱ詰まっていたのに、最終レースでは10位だった。レースペースもよかったし、ここまで1年でたどり着けるとは思ってもみなかったので、ほんとびっくりだ。来年はもっとすごくなるだろう。琢磨さんのレースが見れるかもしれない。周回遅れではなくて戦っている琢磨さんの映像が見れたことは、本当にうれしかった。できれば、アンソニーと琢磨さんでどうでしょうか?あぐり代表。もう、こうなったらオールジャパンじゃなくてもいいと思うんだけど、こだわるならこだわってもいいんだけど、アンソニーが走るのを見たいので是非。
 今年のF1はこれでオフシーズンに入ります。でも、テストとかいろいろあるし、移籍情報もあるし、楽しみは楽しみ。今年もフジテレビさんがオフ企画をして下さるみたいですしね。オフも楽しんでいきましょう。今年もほんと面白かった!