Honda、F1撤退。

 衝撃的なニュースが飛び込んできました。そのニュースの文字を見ても、すぐには理解できなかったくらいに衝撃的な出来事でした。
 なんとなくそんな兆候はあったといえば、あったのかもしれません。なかなか来年のシートが確定しなかったり、中本さんが二輪へ移られたり、もやもやとしたものはあった気がしますが、撤退するとは夢にも思っていませんでした。昨年の成績はどん底とまで言えるほどのものでしたが、後半は2009年の開発にチカラを注いでいるから、仕方ないのだと言い聞かせてきました。ロス・ブラウンさんもそのような言葉を何度かおっしゃっておられたのを信じていました。今年はダメでも、来年がチャンスなんだ、来年はよくなると。それだけが希望でした。そして、3年ぶりの鈴鹿でのF1開催ということも、楽しみでなりませんでした。新しくなった鈴鹿で走るHondaのマシンを見に行くのだと決めていました。
 だけど、夢は消えてしまいました。鈴鹿で開催するものの、そこにHondaのマシンは走りません。
 F1を見はじめたのは佐藤琢磨さんの活躍が見たかったからでした。だけど、いつのまにかHondaにがんばってほしいと思うようになりました。チームとしてのHondaのファンになったのです。いいときもあったけれど、すかっといいときはなかったし、どちらかというと落胆したときの方が多かった気もするのですが、それでも応援していました。雨のハンガリーは心底うれしかったし、君が代が流れたときは本当に感動しました。あの瞬間が、何度でも見れるときがくるのだと、ただ、それを盲目的に願っていました。
 終わってしまった夢を振り返るのは辛いことです。本当はこれまでのことに感謝の気持ちを伝えて、綺麗に終わることができたらいいのだけれど、その気持ちには私はまだなれません。一番応援していたチームがなくなって、ぽっかり心に穴が空いたような気持ちです。Hondaというチームが好きだったのは、本田宗一郎さんの心を尊敬していたからです。困難な夢を成し遂げるために、努力していくその姿勢が好きだったのです。厳しい時代なのも、経営的なものも全部理由は理解できますし、潔い決断には頭が下がる思いです。だからこそ、やり場がなくなったこの気持ちをどうしていいのかわからない。ただ、それだけしか今は思うことができません。