イタリアGP決勝。

 雨のイタリア。この結果を誰が予想できたことでしょう。トロ・ロッソベッテルがポールから優勝! ベッテルは注目しているドライバーの1人ではありましたが、今季中に優勝するとはまでは思っていなかったので、びっくりな結果となりました。予選から雨。Q2では後半に雨が降ってきたために、タイムを早い段階で出していなかった、ライコネンとハミルトンが脱落するという波乱がありました。雨の予選ならではの結果となったわけなのですが、ベッテルはそれにしても速かった。ただ、予選の時点では決勝はドライコンディションだろうということだったので、ベッテルが優勝するとはまでは思っていませんでした。レースのどれくらいまでトップを守れるのかなとくらいに思っていました。
 しかし、決勝は雨。スタートはSC先導となったために、スタート時の混乱もありませんでしたが、大きくスタートで順位を入れ替えたマシンもいませんでした。ベッテルは上手くスタートを決めて、そのまま2番手のコバライネンをぐいぐいと引き離していきました。雨の中のトップというのは、視界が他のマシンとはかなり違うようで、自分のドライビングができるということが、タイヤの温度にも繋がり、グリップ感にも繋がり、ペース自体もよくなっていくということのようでした。後方からスタートしたライコネンとハミルトンでしたが、ハミルトンは順位をどんどん上げていきました。やっぱりマシンとして速いです。比べてライコネンは元気がない。マシンを並べることはできても、追い抜くことができずに順位を上げることができませんでした。
 コバライネンやマッサがもっと前にいくのかなぁと思っていたのに、それほど上がってこなくて、逆にベッテルのペースはかなりよかったので、レース半分まで来たところで、これはひょっとしてひょっとするかもと思ってきました。雨はそのままレース中は降らなかったわけなのですが、情報としてはこれからかなりの雨がくるとかこないとか、予想がつかない状況だったために、タイヤ選択をどのタイミングでするのかがかなり大きな鍵を握りました。エクストリームからスタンダードへの履き替えのタイミングがポイントだったと思います。ただ、どのチームもあまりギャンブルはしてこなかったという印象かも。手堅い戦略だったので、それほど劇的に順位を上げたチームもありませんでした。
 そのままベッテルが優勝。最年少優勝。今回のドライビングは雨という要素はあったかもしれませんが、かなり落ち着いたレース運びでしたし、運に頼ったレースでもありませんでした。トロ・ロッソというチームとベッテルの実力がもたらした結果だと思います。ベッテルはかなりの逸材だと素人が見ても思いました。ハミルトンとかロズベルクもすごいですが、ベッテルの走りにはなんというか、面白さというか不安定感というか、どきどきするようなところがあります。それが今のF1の中ではかなり目立って見えています。これからのベッテルの走りにも注目していきたいです。
 ホンダはいろいろ面白い戦略をとっていたようですが、結果的にはいつもと変わりがありませんでした。雨なので、もうちょっと上の方に来てくれるかなと期待していたのですが、そうもいかなかったようです。バリチェロがドライタイヤを選択したり、バトンがピットスタートだったのは、なにを失うこともないホンダだからできることだったと思いますし、そういうふうにいろいろやってみることが今は必要なのだと思っています。