◆3月のライオン。

 神木隆之介さんの出演作はなんでも観ることにしているのに、すっかり見るのを忘れていたので、思い切って2本連続で!

 原作の漫画は読んでいるんだけど、映画の味付けはちょっと違ってみえた。でも、棋士としての苦悩や成長がわかりやすくて、すごくいい映画だった。公開時にあまり口コミでいい評価を聞かなかったような気がしたので、期待してなかったけど、かなりいい作品でした。神木くんの演じる桐山零はあまり言葉は多くない。棋士にしても対局中は言葉はない。だから、その表情で心情を現さないといけない。ポーカーフェイスを装いながら、目まぐるしく回転する頭とか、焦りとか喜びとか、それが言葉ではなくて表情やしぐさで見せないといけない。どの役者さんもものすごくいい演技だったです。もちろん神木くんも。特に最後の後藤さんとの一戦とかは、みているこっちの方が緊張するような演技で、心がかきむしられるようなそんな感覚を覚えました。1局1局への集中力や体力は並々ならぬものがあるし、それにかけることによって、失っていくものもある。その緊張感とアットホームなやさしい家族の温かさが同じ空間にあるそんな優しい映画でした。
 原作で読んだときも、実の父が来て、桐山くんがプロポーズしちゃうとこ、焦りすぎてみていて痛いよ!と思ったけど、映画でももっと痛く感じてしまいました。大切なのに、やることが大切に見えなくなってしまうジレンマ。それをしっかり謝って、関係を修復できるかどうがが大切なところだなって思いました。誰かにかかわること、誰かと一緒にいること。一緒にいる間は心地よいけれど、離れてしまうと、一人の空間が大きく感じられて、淋しさが募る。だから、それを避けたくて一人になるんだけど、でも、やっぱり人はだれかと一緒にいないといけないんだと思う。自分だけでできることは限られているけど、みんなでやることに限りはないと思うから。
 深夜に見始めてしまったのに、眠くなりもせず結局4時までぶっとおしでみました。