◆はらはら、どきどき。

 ひさしぶりに、最後まではらはらどきどきの展開でした。でも、終わりよければすべてよし、満足感に満ちた夜になりました。
 なんといっても予選ラップがすごかった。ニコ・ロズベルグが2位に0.5秒も差をつけてのポール。こんなに差が開いたことはいままでになかったと思うので、速さが際立ちました。ハミルトンがフリー走行でうまくセットアップを見つけられなかったというのが大きいとは思うのですが、昨年散々だったレースを思うと、今年は予選もレースも強いメルセデスでいられたんじゃないかと思います。
 スタートがほんとに不安だったのですが、うまくトップを守り切ってくれました。その直後にヒュルケンベルグの事故があったために、SCとなりましたが、タイヤは変わらずで、レッドブルのスーパーソフトに対して、メルセデスがウルトラソフトで守り切れるのかが見所でした。SC開けがマーシャルさんをひきそうになるとんでもないこともありましたが、そうそうにブレーキが深刻な状況になっていることが告げられ、リフトアンドコーストが余儀なくされたロズベルグでしたが、それでもリカルドをどんどん離していくペースだったので、安心してみていられました。結局、先に入ったのはレッドブルの方だったので、ロズベルグのタイヤマネージメントはうまくいったのでしょう。第2スティントはリカルドがスーパーソフト、ロズベルグがソフトタイヤということで、またもやリカルドが迫ってくる状況でしたが、後半はまたロズベルグのペースがよくてだいたい5秒以上のギャップが築けていました。
 レースが動いたのはハミルトンが3回目のピットストップをしてから。それに対応するためにライコネンもピットに入り、そのためにライコネンは順位を失ったわけですが、これがよかったのかどうか。ライコネンがそのまま行っていたら、ハミルトンがオーバーテイクすることができたのかどうかはわかりません。どちらかというと、ステイアウトして後ろから迫ってくるハミルトンとの攻防をした方が、利があったようにも思えます。ライコネンの腕前なら守り切れたような気もするので。それにともなって、リカルドもピットインしてニュータイヤに。でも、ロズベルグは入れなかったんですよね。周回遅れのマシンにひっかかっておもうようにペースが出せなくて、リカルドとの差がなくなってしまったことで、ピットインすると1位を明け渡すことになる状態だった。だから、ステイアウトすることになり、それからは毎周、毎周がひやひやでした。リカルドは1周あたり3秒から2秒のペースで詰めてきていたので、もうラスト3周は見てられない状況でした。バックマーカーがいてくれたおかげで1周か2周ほど、リカルドのペースを抑えることができたので、ラスト1周に入ったときには、もう大丈夫だなと思えました。最後の最後で0.4秒まで詰め寄られていましたが、抜ける状態ではなかったので、ほんとに最後までペースを守り切って、ミスなく走り切ったロズベルグはすごかった! 今回の勝利は彼をまた、強くしたと思います。見ているこっちは気が気ではなかったのですが、それも終わってみるとほどよい疲労感になっていました。
 今回の見どころはライコネンがハミルトンのミスを見逃さずに、オーバーテイクしたところ。かっこよかった! ひさしぶりにかっこよくて、強いライコネンを見ました。それだけに、そのあとのピット作戦であっさり3位を譲ってしまったのがもったいなかったかなと。あそこで、ライコネンロズベルグとの間が別れたような気がします。とっさに判断できたかどうかそれの違いなのかなと。このごろのフェラーリの戦略は疑問が残ることも多くて、今回もそんな感じでした。
 ロズベルグがトップに返り咲き! このまま流れをつかんでいっちゃってほしいです。