◆風は吹いているか?

風立ちぬ [DVD]

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 「映画館に見に行こうかな」→「終わってしまった、レンタルしよう」→「なかなか借りられない」 ということで、ようやくツタヤディスカスさんの順番が回ってきたので、見れました。
 宮崎駿さんに密着した番組を見ていたので、ところどころ、こういうストーリーなんだろうなと思っていた部分はあったのですが、ストーリー全体とすると私が思っていたのとはかなり違っていました。もっと重たい話なのかと思っていたのですが、純粋に恋愛と空を飛ぶという夢を叶えるストーリーでした。
 戦闘機は人の命を奪うもの。 それを作ることを夢とするのは、なんだかひっかかる部分があったのですが、純粋に空を飛ぶ、風にのる、そんな機体を作りたいという一心だったように思いました。一つのものを作り上げていくなかで、多くの人のアイデアと知恵と努力がつまっていて、だからこそ、それが命を奪うために使われるということがすごく悲しく思えました。人間の飛びたいと思う気持ちをただ追いかけているそんな純粋な気持ちの具現だったと思うのに。
 恋愛もかなり本当に純粋で、二郎さんが庭から飛び込んでくるシーンが一番きゅんとしました。礼儀正しいけれど、しっかりと愛を刻んでいる。そんなシーンでした。
 風を切り裂いて飛ぶ飛行機はあまり綺麗には見えません。風に乗って、風とともに飛んでいく姿こそ美しい。鯖の骨の曲線に魅せられているシーンがありましたが、自然に作られたものは、どれも素晴らしいバランスでできています。抵抗のない、一番自然で一番効率的なカタチ。それを人の手で作ることは、とても難しい。真っ白な図面だからこそ、なお、難しい。
 この映画に出てくる堀越二郎さんは、実在の人物とは違う架空の人物設定になっているそうです。菜穂子さんも架空。みやっさんテイストだということですよね。だからこそ、映画。実在の人物の実在のストーリーでは、ドキュメンタリーですもんね。空を飛びたいをカタチにしたら、こうなったという宮崎駿監督の夢のカタチなんじゃないでしょうか。