◆僕のハートを差し上げます。

 堂本剛さん出演のドラマプラトニック、最終話。
 青年と沙良はいつもどおりの毎日を送っていた。何事もなかったかのように。本当に何事も。青年に助かる可能性が出たとか、娘はどうなるのかとか、そういうことではなくて、ただ、時間の流れとしての今日と明日を教授していた。
 青年が沙良に手術の話をしなかったのは、しなかったわけではなかった。ただ、話をすることがなかったからなのだ。手術をしないと青年は決めていたのだろう。だから、何も沙良に話すことはない、だから、話さなかった。そういう単純と言えば単純な、だけど、ものすごく大きな決断をしていたのだと思う。
 沙良が母に戻ることを決意し、離婚届に印鑑を押す。青年に生きてほしい。そのためだけに。初めは一時的な感情なのかと思ったが、そうではなかった。自分の決断が揺るがないように、父親と一晩を伴にしようとさえした。だけど、自分の心を偽ることに、ためらいが生じたのだろう。別の選択肢を求めてしまった。
 そして、ストーリーは大きく終末へと向かう。強盗に刺された青年が命を落とした。覚めない夢はあると、彼女に救ってもらったから、彼女を救いたいと。そう、言い残して。沙良が青年に夢から覚めるようにと説いていたけれど、青年の方が先に夢から覚めていたように思う。前回の暗示もあるが、青年はこの夢に終わりがあることをすでに実感していたのだと思う。そして、その終わりこそが彼の願いだった。
 強盗にあらがうことをやめ、刺された彼。そして、あえて刃物を引き抜いた彼。防犯ビデオの先にいる沙良に向かって笑顔を作った彼。すべてが彼の決断だった。彼は心臓だけでなく、本当に「ハート」を、「心」を彼女に差し出していた。
 青年の最後の笑顔を、沙良はきっといつまでも思い出すのだろう。あの幸せに満ちた笑顔を見たら、もう何も言えなくなってしまった。ここまで強く相手を想い、すべてを差し出す愛を私はまだ知らない。緑色の瓶に入った海辺のアロマはどんな香りだったのだろう。夕陽の香りだろうか。
 今回も剛さんのシャワーシーンとか寝返りとか、細かくきゅんきゅんしたけど、やっぱり、最後の笑顔があまりにも優しかったことが一番の見どころでした。あぁ、今回で終わっちゃいました!終わってしまいました! 剛さんの新しい素敵さを発見できるいいドラマでした。次も早く大人の恋愛をする剛さんが見たい!