ロシア杯。

 すでに中国杯の結果も出ている時になって、ロシア杯の感想を書くのはどうかなぁと思ったりしたのですが、浅田真央さんの気持ちを聞いてから書きたいと思っていたし、それを聞いて私がどう感じるのか、それが一番残すべきことかと思ったので、しばらく時間を開けてから書くことにしました。
 ショートプログラムはネット上のテレビ番組でリアルタイムで応援していました。最初のトリプルアクセルの回転が足りなくて両足になってしまったときに、なんだか私の中でもこぼれ落ちるものがあって、それ以降の演技はとても安定していたと思うのですが、どうしてもここでトリプルアクセルを決めた真央さんが見たいと思っていた気持ちが強すぎて、涙がでそうになりました。点数はザヤックにかかってしまったこともあり、伸びませんでした。トリプルアクセルが失敗すると、二重に点数がでなくなるのだということを思い知りました。
 フリーは私が緊張しすぎて胃が痛くなってしまいました。当事者でない私がこんなふうに思うくらいなのだから、真央さんにかかる重圧というものはどれくらいなんだろうといつも思ってしまいます。その中で演技をしなくてはならないということが、辛く思えました。最初のトリプルアクセル、決まってほしかった。そのあともスパイラルにスピードがなかったり、ジャンプの高さが足りなかったり、真央さんの本来の演技ではなかったように思います。スケーティングは誰よりも綺麗でした。だからこそ、ジャンプが決まらないことが辛すぎました。点数を見ない真央さんの表情も、この状況でもインタビューに応える姿も全部辛くて、でも、がんばっている真央さんから目を逸らすなんてことはできるはずもありませんでした。
 5位という結果。グランプリファイナルへはたぶん行けないということ。それを考えると不安ばかりが襲ってきましたが、次の日のエキシビション。真央さんが笑顔で滑っておられたことが心の中の光でした。この結果を受けて、もちろんプログラムの修正も考えたのだと思いますが、真央さんが出した結論はこのままのプログラムと曲でいくということでした。
「百発百中にしたい」その言葉がすべてなんだと思います。
 練習では3Aの成功率はかなりの確率だと聞いています。練習でできているからショートプログラムにも入れるのでしょう。真央さんが納得できる演技を見せることができていないから、変更ということに否定的なのだと思います。「できないことはなにもない」本当にそうなんだと思います。オリンピックまでの時間は限られているし、オリンピックへの切符もまだ誰も手にしてはいません。次は全日本での演技になるかと思いますが、のびのびと滑る真央さんが見たいです。
 完璧に滑ったときのとてもいい印象を持ってオリンピックに望んでほしいと思っています。この2ヶ月、きっと真央さんにとってはあっという間でしょう。次に拝見できるときに真央さんが笑顔なら、それでもう全部いいです。
 ロシアでプルシェンコさんがフィナーレでもひょいっと4回転を跳んでいるのをみて、こうなったら真央さんもフィナーレでひょいっと3A跳べるくらいになっちゃえ!という気がしました。そして、きっとできます。絶対、大丈夫です。 いろいろ思って沈んだりもしたけれど、だけど、真央さんがきっぱりと話しておられたことで、すぅっと前が見えました。