ブラジルGP決勝。

 ブラジルGPだけは深夜に放送していても、絶対に起きてみるようにしています。今年も早めに就寝して1時前に起きてばっちり見ました。CSで見た後、その余韻を楽しみたくて、地上波も残り周回20周からラストまで見てしまいました。今年もブラジルGPはとても面白いレースだったので、眠たいなんて少しも思いませんでした。
 前日の予選は録画しておいたところ、2時間では全部入りきっていなくて、結局Q2の途中までしかわかりませんでした。この後いろいろあったみたいで、思いがけない予選結果に唖然としていました。ここで優勝を決めたいジェンソン・バトンは14番手スタート、ベッテルが15番手、そしてルーベンス・バリチェロはポールというスタート順でした。決勝はドライコンディション。面白くなりそうです。
 スタート早々、いきなりスーティルとヤルノの接触。アロンソも巻き込まれて3台リタイヤ。KERSでポジションアップしていたライコネンウェーバーとの接触でフロントにダメージを追ってピットイン。先に入っていたコバライネンが給油ホースを引きちぎってスタートしてしまい、ぶちまけられたガソリンに引火。ライコネンのマシンが一瞬火に包まれて、騒然としました。コバライネンのマシンから給油ホースを抜いたのは、近くにいたブラウンのクルー。消化器を持ってきたり、しっかり作業していて、好感がもてました。自分のチームではありませんが、こういうときは助け合いってことですかね。これでコバライネンがバトンの順位を下げることになっていたら、どうなんだろうと思ったかもしれませんが、この時点ではブラウンのクルーの行動はよかったと思いました。
 いきなりのSC導入で荒れたスタート。いつのまにかバトンが8番手に。ツキもありますね。リスタートを切ってからは随所にバトルが見られる面白い展開。バトンはグロージャン、中嶋とかわしていって、初参戦の小林に迫ります。ベッテルもするすると上がってきました。しかし、小林がバトンを相手にかなりの戦い。一度、抜かれそうになったところを抜きかえしてみせたところはよかったと思いますが、その後の微妙なコース変更による防御はちょっとどうかなぁとも思いました。バトンが無線で叫んでいたりしましたが、ちょっとF1では見たことないような走りもあったように思います。かなり小林に付き合わされた感がありましたが、24周目にようやくオーバーテイク。そのあとは小林も何台かに抜かれる展開となりました。
 バリチェロはピットストップ後の出た位置があまりよくなくて、ウェーバークビサに前をいかれてしまいます。この第2スティント、バリチェロは集団の中にいたのでペースがあまり上がらないのかなと思っていましたが、そうでもなかったようで第2スティント後半でも速さが見られませんでした。そのため、ウェーバーは楽な感じでトップに立ってしまいました。ハミルトンは最初のSCのときにタイヤ義務を果たし、1ピット作戦に変更してきました。かなり怖い存在です。速さもあるし、これはかなり上位までいきそうです。
 バトンの2回目のピットインはまたもや出たところにコバライネンがいて、前をふさがれてしまいました。ベッテルとの争いがそんなにタイム差がなかったこともあり、次の周にピットインしたベッテルが出てきたときにはバトンの前に出られてしまいました。このときバトンは7番手。タイトル獲得ぎりぎりな感じでした。コバライネンが1ピット作戦なのか2ピットなのかわからなくて、このまま前にいられたらイヤだなぁと思っていたのですが、数周したところでピットイン。バトンは6番手に浮上。タイトルが見えてきました。
 63周目にハミルトンがバリチェロオーバーテイク。ホームストレートだったのですが、なぜかそのときのにハミルトンはバリチェロのタイヤを傷つけてしまい、バリチェロリアタイヤをパンク…。ピットインせざるをえない状況になって8番手にダウン。ものすごい展開に唖然としながらも、バトンのチャンピオンがはっきり見えてきました。残りの数周はどきどきしながら見ていました。バトンも決して最後まで気を緩めることなく、きっちり速いタイムを出し続けました。マッサがチェッカーを振る中で5位でフィニッシュ。とうとう、ワールドチャンピオン決定です!! 
 ウィニングランではバトンは無線で歌を歌っていたり、歓喜の声を上げていたりしました。仲良しチームメイトのバリチェロがマシンの中からバトンをたたえる姿がとても印象的でした。バリチェロ…、あまりにいい人すぎます。このあとマシンを止めてからもしっかりとハグしあった2人。最大のライバルでありチームメイトでもあったまま、チャンピオンが決定したことがとてもよかったなぁと思います。この2人をみているとブラウンGPというチームの団結力を感じます。今年のレースが始まる前は参戦できるのかどうかさえわかりませんでした。それが、コンストラクターズとワールドチャンピオンという2つの栄光を勝ち取ることになったのです。これ以上うれしいことはありません。苦労した分だけ喜びもひとしおだと思います。クルーみんなで写っている写真はあまりに輝いていて、涙が出そうになりました。
 ジェンソン・バトンというドライバーを応援してきて、まさか本当にチャンピオンになれるとは正直思っていませんでした。今季も最後までベッテルを応援する声も多かったですし、後半は優勝に絡むことが少なくなり、すこしづつポイントを重ねるレースが多く、チャンピオンを疑問視する声もありました。でも、そうやって我慢して取ったポイントがあるからこその今なのだと思っています。特にこのレースではアグレッシブなバトンのバトルを見ることができ、本当にうれしく思いました。普通のレースでした。本当に普通でした。でも、この大事な一戦に普通でいられることが一番難しいことなのだと思います。バトンらしいクリーンなバトルが多くて、見ていて楽しかった。ホンダ時代はあまりにも辛いシーズンもありましたし、移籍関係でもめもめなときもありました。でも、本当に素晴らしいドライバーです。応援したくなるドライバーです。本当におめでとうございました!!
 5位で手に入れたチャンピオンでしたが、昨年のハミルトンのときとは違い、勝ち取ったポイントだったので、5位でのチャンピオン決定を心からおめでとうということができます。最後、新しいサーキットのアブダビ。どんなコースなのか興味津々です。ピット出口がトンネルってほんとですか?!