ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品 その6。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品をなるべく原書出版順に紹介。最新刊の紹介です。

魔法の館にやとわれて―大魔法使いクレストマンシー

魔法の館にやとわれて―大魔法使いクレストマンシー

 ジョーンズ作品で一番好きなシリーズ、クレシトマンシーシリーズの続刊。クリストファーがクレシトマンシーになる前の15歳くらいの冒険を描いています。主人公は廻りの人に振り回されてばかりいるコンラッド。叔父から自分は前世の悪い業にとりつかれていると聞かされ続けたコンラッド。その業を断ち切るべく大きなお屋敷の従僕として働くことになるのですが、相棒は別の世界の大魔術師クリストファー。やることが派手なクリストファーのミリー探しを手伝ううちに、この館が別の世界に通じているうえ、一日に何度か「変化」を生み出していると知る。
 恋愛が華々しいです。クリストファーとミリー意外にも、コンラッドの姉の意外な恋愛や楚々としたお嬢様の意外なお相手など、びっくりするカップルが続々登場。豪華な宴とともに真実もめくるめくように展開されていき、本当の伯爵が開かされたり、コンラッドがどうして送り込まれたのかが明かされたり。クリストファーは終始、ミリーを追いかけていました(笑)
 コンラッドもよくある『思い込みの罠』に落ちていた1人で、それを抜け出した途端に魔法の才能を見いだされました。人ってそういうものかも。自分で自分を縛り付けて、自分の才能さえも押し込めているのかも。そう思うと自分の中にももっと何かあるんじゃないかと思えてきます。

 ジョーンズ作品で一番好きなシリーズ、クレシトマンシーシリーズの最新刊。しかも、主人公はキャット!早く日本語版がでないかと首を長くして待っていました。
 次のクレストマンシーとして城で学んでいるキャット。クレストマンシー城の近くの村には昔から魔法を使える一族が暮らしてきたが、クレストマンシーを恐れて様々な防御策をとってきた。ピンホー家マリアンはとても魔法の力が強い女の子だが、周囲からままったく相手にされていない。いつもおかしなことをいうばば様の後継者として振り回されるばかりだ。屋根裏にあった卵をマリアンからもらったキャットはその卵を孵してみる。生まれてきたのはグリフィンだった。
 とんでもないピンホー家。亡くなったと思われていたじじ様が意外なところで意外に登場したり、クレストマンシーでさえもその罠に捕らわれてしまったりととんでもない。最後の最後はクレストマンシーが解決することになるのですが、キャットが解決してもよかったんじゃないかなぁと。クリストファーのおいしいとこどり。とにかく、グリフィンのクラーチがかわいくて、ジョーンズ作品のグリフィンというととんでもなくおてんばな子を想像してしまうのですが、クラーチはとてもお利口です。マリアンとキャットはいい友達から、ちょっとづつ発展していきそうかな。その辺りのお話も続編がよみたいなぁと思ってしまいますが、ジョーンズ先生!お願いします。期待以上に楽しい作品で大満足です。