獣の奏者3,4巻。
獣の奏者(id:nanayana:20070707)の続編刊行! 驚きととともにうれしくて早速読みました。前作が2巻で完結していたため、続編はないだろうと思っていましたが、また前作とは違った味わいがありました。本当にとても大きなテーマを扱っていて、特に3巻は読み進めることが困難に思うほどでした。しかし、4巻はあっという間に読んでしまいました。ラストへ導かれるスピード感、迫力のある描写、圧巻のラスト。そして、心の中に残る重さ。読み応えのある作品でした。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/11
- メディア: 単行本
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中盤までエリンの夫が誰なのか明かされず、ちょっとどきどきしましたが、当然の人物でよかったです。ジュシが行動派なところはエリン譲り。エリンが自分の道を見いだしていく中で、ジュシも自分の道を自分で決めて歩き出しました。母としての強さや優しさが描かれていました。肉巻きのごはんがとてもおいしそう。
ラストの戦いのシーンは圧巻。恐ろしい渦を巻いて、混乱と混沌がすべてを飲み尽くそうとするとき、エリンとリランは守る者のために急降下していきます。その姿を思い描くとぞくぞくします。凍り付いたように止まるすべて。中央にできた台風の目の中をものすごいスピードで降りていく影。1人と1頭がどんなに大きな力を持っていたとしても、大きな流れは止めようがなくて、だけど、2つの命をかけたその行為は、大きなものを後世に残しました。そうやって繋がっていくものがあること。1人の力は時間的にも体力的にも限られています。1人の力ではできないことが、連なって繋がって大きなモノを生み出すこと。それが、今になっているのであり、これからになっていくのだと思うのです。そういうことが、この作品の大きなテーマだったように思いました。