スペインGP決勝。

 スタート直後のターン2でものすごいクラッシュが起こって、SC導入となりました。スタートは奇数列有利ですが、バリチェロがとてもいいスタート。バトンを抜いてトップに立ちました。パーツがかなり飛んでいたので、SCの時間は長かったです。リスタートではブラウンの2台が上手くスタートして、KERS搭載のマッサとの距離を保ちました。そのまま、マッサとの差を少しづつ広げていきました。バリチェロはいい走りでした。予選でもバトンよりいいタイムを出していましたし、今週のブラウンに関してはバリチェロのマシンの方が速いように思えました。
 最初のピットストップで、3ピット作戦をとったバリチェロ、2ピット作戦に変更したバトンと戦略が分かれました。これがレース結果を左右することになりました。最初はブラウンは2台とも3ピット作戦だったようですが、バトンがトラフィックを嫌って2ピットに変えたということでした。バリチェロは第2スティントでもいい走りをみせて、どんどん差を開いていきました。この時点で、トップはバリチェロかバトンかというチームメイトの戦いになっていました。マッサとベッテルはぴったりとくっついて離れない関係。KERSを積んでいるフェラーリは抜きにくいようです。ピットストップのタイミングまでも同時だったため、終盤までマッサとベッテルの関係は変わりませんでした。
 バリチェロが第3スティントでレースペースが上がってこずに、バトンとの差ができてしまいました。これまで良い走りをみせていたのに、なにが違ってしまったのか、バリチェロのコメントだとタイヤというよりはマシンとのことだったのですが、積極的に攻めた走りをみせていたバリチェロに今回は勝ってほしかったような気もします。バトンは安定した走りでマージンを築いていきました。バトンがよかったのは、フェラーリだとかなりのタイム落ちがあるというハードタイヤでの走行でも、安定した速さをみせることができたことだと思います。危なげない走りでトップを走りきりました。
 バリチェロは終盤、ウェーバーからの追い上げにあいますが、しっかりとポジションを守って2位。チームオーダーだとかいろいろ話もあるようですが、私の印象では単にタイミングの問題だったのかなと思います。あのままバリチェロがレースペースを落とさずに走れていたら、バリチェロが優勝していたレースだったと思いますし、意図的になにかするようなチームではないと思います。まぁ、ピット作業の効率が悪いブラウンGPなので、そういったところでは3ピット作戦の方がロスが大きいとも言えるかもしれませんが、それこそ意図的ではないですしね。今回もピット効率は低レベルだと思いました。もっとタイトな戦いになってくると、その1秒が結果を変えることになりかねません。
 なんといっても、最低だったのはフェラーリ。昨年の後半からなにか歯車が噛み合っていないというか、悪循環をしているというか、チームの雰囲気がよくなさそうな感じを受けます。予選でもライコネンがQ1敗退をしたのは、チームがこのタイムで抜けられるという楽観的な姿勢でいたためとのこと。そして、マッサは最終スティント、まさかのガス欠寸前でした。レースの最後まで走れないかもしれないという給油量ってどういうことですか…。ベッテルと順位争いをしながら、燃料をセーブしろって、できっこないオーダーを受けているマッサがかわいそうに思えるくらいでした。最後の3周はかなりの低速で走っていたのでアロンソに抜かれてしまい、フェラーリと思えないくらいの屈辱的なレースだったと思います。なんとかチェッカーは受けたものの、ピットに戻るまでの燃料がなく、コース途中で止まってしまっているマッサのマシンは本当にギリギリ感がでていました。なんでこうなってしまったのか、フェラーリのマシン自体には速さが見えてきたのに、こういう状況だと勝てるはずもありません。
 次はモナコ。抜けないコースなので、予選重要。美しいモナコの風景を見るのが今年も楽しみです。