篤姫。

 大河ドラマ篤姫』が最終回でした。大河ドラマを年間通してみるのは、本当にひさしぶりでした。1年間も続くドラマを忘れずに見続けることができるのかなと思っていましたが、自然に日曜日の8時にはテレビの前にいて、篤姫の笑顔を見ることが習慣になっていました。最初のおきゃんなおかつは表情がくるくる変わってとってもかわいらしく、しかも、父上が毎回涙を誘う演技ですっかりはまってしまいました。将軍家に嫁いだあとも波瀾万丈。涙もあったし、笑顔もあったし、いつもあったかい気持ちにさせてくれる時間でした。
 幕末というと本当に難しいというか、政治的になってきて、登場人物もわかりにくくて苦手にしていたのですが、このドラマは軸がしっかり絞ってあったことと、その人物の背景やあったかさといった部分をきちんと描いていたので、1人ひとりを人物として捉えることができました。西郷さんの最後もいままでは理解できない行動だったのですが、西郷さんのひととなりや熱さを思うと、少しまた違った見方ができるようになりました。小松帯刀に至っては名前を聞くのも初めてだったのですが、あの激動の時代になくてはならない人物だったことを知りました。一番違って見えたのは井伊直弼です。歴史を学んだときには、なんという強引な人なんだろうと思っていましたが、偏った見方だったかなと今は思っています。
 篤姫が母から学んだ「一方の意見だけ聞いて沙汰をするな」という言葉は本当に真実だと思うのです。その言葉どおり、私の中の歴史上の人物はなんとなく白黒だったものが、カラーになって、血の通った人物として受け取ることができました。歴史上の人物はその後の流れや趨勢から一方方向からの見方になってしまいがちな部分もあるので、そのような思い込みでみていた部分があるとすると、篤姫の言葉に気付かされたことになります。
 全編に「家族」ということが打ち出されていました。徳川という途方もなく大きな家族。それを守っていこうとした天璋院。あまりにも広い愛情に驚くばかりです。天璋院が受け取った愛情、それも大きかったのでしょうし、そして、天璋院自身が生み出した愛情もまた大きいものでした。『女の道は一本道』という名言も天璋院を後押ししていました。だからこそ、あのように混乱した時代に潔い生き方ができたのだと思います。私にはまだ、その言葉の真意を推し量ることはできません。だけど、日々の暮らしの中でまっすぐに生きていくこと、そして、広い視野を持つことを忘れずにいようと思っています。1年間素晴らしいドラマをありがとうございました。