エリック・ボンパール杯 女子フリー。

 気持ちが落ち着くまでに1日かかってしまいました。浅田真央さんの今回のプログラムは、怒濤の舞踏会だなという構成でした。ジャンプのミスにあまり気を取られないくらいのスピン、スパイラル、ステップ、曲のつなぎ。ここまで動き回るプログラムだとは本当に想像していませんでした。
 最初の3A+2Tを単独の3Aにしたそうなのですが、昨年までは3Aが決まるか決まらないかどきどきしていたのに対して、今年は単独なのかコンビネーションなのかというところで話をしていることが、すでにすごいことだなと思ってしまいました。両足着氷になってしまいましたが、3Aの安定感は昨年よりずっと感じられました。次の得意のループジャンプが2回転になってしまったところで、やっぱりジャンプに不安があるのかなと思いました。その後もジャンプは思うようには決まりませんでした。真央さんのサルコージャンプは私がまだ見たことがないジャンプなので、どきどきしていたのですが、NHK杯で拝見できたらと思います。
 後半のスピンとステップはとんでもない状況です。追い立てるような音楽にのせられて、くるくると廻る真央さん。その身体の動きの鋭さと確かさに驚くばかりでした。今回のステップはもう、まさに圧巻です。息をつく間もないという言葉通りの、ステップステップステップ。ストレートラインがこんなに長いなんて思ってもみないほどの充実ぶりでした。この演技が今季はずっと拝見できるなんて、すごく贅沢です。
 今回はジャンプが決まらなくて残念な結果になってしまいました。タラソワコーチとともに合宿に入るということなので、少し安心しました。このまま、悪い気持ちを引きずるようなことがあると、今季が辛いものになってしまうだろうと思ったからです。ジャンプを自信もって跳んで、演技が終わった後に満面の笑顔を浮かべる真央さんが見たい。私はずっと、真央さんの笑顔がみたいだけなのです。真央さんだって普通の女の子なので、緊張もするし、完璧ではないこともあります。でも、だからこそ、表現できることがたくさんあって、みんなを笑顔にすることだってできるのだと思います。NHK杯のリンクで、リラックスした気持ちですべってほしい。それだけが願いです。