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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品 その3。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品をなるべく原書出版順に紹介。感想を保存していない作品は読み返して補完中。

呪われた首環の物語

呪われた首環の物語

 人間の1人が無防備なドリグを殺してしまい、ドリグに呪いをかけられた。湿原を巡って人間とドリグ、そして巨人たちとの争いが起ころうとしていた。
 ジョーンズさんの初期の作品。最近の作品はドタバタとドンデン返しがジョーンズ作品の面白さだと思いますが、この作品はしっとりとしたファンタジーらしいファンタジーでした。自らを人間だという種族が3つあります。そして、お互いのことをよく知らないがために、誤解していたり、傷付けあったりしてきました。その3つの種族が共通の問題を持ったときに、その関係は少しだけ変化しました。でも、その変化は大人たちがもたらしたものではなかった。子供たちが自分なりに解決を求めた結果だった。そこが面白いところです。大人には守るものもしがらみもいろいろついてきてしまう。でも、本当が見えているのは実は子供なのかもしれない。見えなくなってしまっていた真実が見えて、本当の信頼を知った。だから、いままでの迷信は打ち砕かれたのだろう。「なんの取り柄もない」と思っている人こそ、才能が埋もれているだけなのかも。

わたしが幽霊だった時 (創元推理文庫)

わたしが幽霊だった時 (創元推理文庫)

 気が付いたら幽霊になっていた『わたし』。自分が誰なのか、どうして幽霊になったのかがわからないままに、学校へと向かった。見覚えのある場所、見覚えのある姉妹たち。『わたし』は一体だれなのか。
 かなりわかりにくい構成になっている作品でした。まず、自分が誰なのかわからないという状況に加えて、どうして幽霊になったのかもわからない。そして、中盤で現実と過去が入り交じり始め、そうしてラストへと続いていくことになります。どこが自分の今の居場所でどれが本当なのかがわからないという設定になっているので、すごく掴みづらかったのですが、最後にはすべての謎も解けてめでたし、めでたしです。ジョーンズ作品だけあって、4姉妹はどの人物も個性的。そして家族で暮らしているときの様子はあまりにもリアリティがあって、ドタバタしています。子供のときに感じるいろんな感情、とくに幽霊を信じる感情がすごくリアル。むやみに怖がったり、それでも興味があったり、子供の頃に感じた気持ちがまたよみがえってくるような気がします。

バウンダーズ―この世で最も邪悪なゲーム

バウンダーズ―この世で最も邪悪なゲーム

 ジェイミーは「古い要塞」に入り込み、そこで「あいつら」がとんでもないゲームをしているのを見てしまう。そのときからジェイミーはたくさんの世界をさまようこととなってしまった。
 奇妙なゲームに囚われたジェイミー。このゲームがどんなものなのかわからない最初のうちは、難しい印象でしたが、ラストにくるとそうだったのかというジョーンズ作品特有の種明かしがあります。ラストまで読んでも本当にハッピーエンドとは思えないのですが、それでもジェイミーが選んだ道がよきものになるように願っています。たくさんの平行した世界が連なっていく不思議な世界。どこが『本当の』世界なのかわからなくなる。本当を本当であらしめているものは、とても奇妙なねじくれを起こしていて、そのためにすべてがひっくりかえることになってしまった。箱庭のような世界のひとつひとつ。でもその世界はちゃんと生きていて、ほんものだった。それを偽物にしてしまう何かがあっただけ。現実を取り返すために、ゲームの中で戦い抜くお話です。

七人の魔法使い

七人の魔法使い

 ある日。ハワードの家に身体がでっかいが頭が小さい「ゴロツキ」がやってきた。「ゴロツキ」は、父さんが書いているくだらない二千字の文章が、この街に住む7人の兄弟の誰かによって、よからぬことに使われていると言ってきた。
 さすがにジョーンズ作品!すっちゃかめっちゃかな世界が広がっていました。おもちゃ箱というよりは、もういろんなことがいっぱいありすぎて、溢れ返っているといった感じです。途中まで読んでいても、この作品はどうやって収まっていくんだろう?と疑問に思うくらいに、物事は大きくなっていくし、先も見えませんでした。これほど、めちゃくちゃな世界なのに、登場人物のどの魔法使いもキライにはなれないし、むしろ好きなんですよね。悪いところももちろんあるし、近寄りがたいんだけど、だけど、そこがいいというキャラクターばかりなので、不思議です。ジョーンズ作品ではいつもラストがなぜか、すごくまとまっているのが不思議でならないのですが、この作品もそうでした。まさに、マジカルです! 7人の魔法使いがそれぞれがそれぞれに、自分の好き勝手にしてしまうと世界は一つでは足りません。でも、本当に1番欲しがっていたのは、一緒にいてくれる兄弟だったのかも。