マクロスF。

マクロスF(フロンティア) 1 [Blu-ray]

マクロスF(フロンティア) 1 [Blu-ray]

 マクロスF、最終回を見終わりました。やっぱり、マクロスは歌で、バルキリーで、三角関係でした。バトルシーンに響き渡るポップソングという、まったく逆のものがなぜかものすごくしっくりきてしまう世界観。ネタバレ書きたいので、続きは伏せます。
 初代マクロスの映画版と同じような雰囲気のするラストだった。アルトが最後にみんなの想いをのせて突入するあたりと、女の子2人がわかりあったりするあたりはなんとなくそんな雰囲気。「あの歌なんだったの?」「恋の歌よ」というやりとりもそのまんまだし。決定的に初代と違う三角関係の結末には、とにかくむずむずする。仲良しなラストもそれはそれでよかったと思うは思うんだけど、でも、やっぱりどこかでいつか結論がでるのだから、そこが見たかった! それが誰かにとって、悲しい結論だったとしても、その答えが聞きたかった。含みがあるといえばあるんだけど、う〜ん、むずむず。
 まぁ、アルトのことなので、そういう優柔油断な態度にでることは予想はしてました。しっかりしているようでしっかりしてなくて、実際のところ自分の恋愛感情と深く向き合ったことがあるのかなぁ?と思ってしまったりする。マクロス7のバサラと同じ感じを受ける部分があるんだよねぇ、タイプは違うと思うのに、なぜか恋愛に関してはそう思えてしまう。
 マクロスFは銀河征服というとんでもない陰謀が動いていたが、このごろのアニメに多い人類の意識または存在の結合がその手段だった。わかりあえないからぶつかって、わかりあえないから戦って、なにかを滅ぼそうとする。そして、わかりあえないからわかろうとして、わかりあえないから触れて、誰かを愛そうとする。正反対なことなのに、どちらも同じところに立っている。すべてが解け合ってしまえば、きっと今みたいに傷つけ合ったりすることはないのだろうけど、だけど、それ以上は進めないようにも思う。個体としての存在は危ういけれど、集合体になるより進化できるということなんだろう。このテーマを描いているアニメは個を選ぶ傾向にあるように思う。過去を補完するよりも、未来へ向かうために、個を尊重する。それぞれの特異性をそのままのカタチで受けいれようとする。だけど、なにかを変えないと人はこれ以上わかりあえないのではないかと、いつも疑問に思う。
 マクロスFの新しさはバジュラを1つの生命体として認めたラストにあったと思う。他の生命体、しかも人型ではないものと分かり合うこと。それが描かれたことに未来を感じた。宇宙に飛び出していくということは、自分ではない他者を受け入れることに他ならず、しかも、共通のコミュニケーションツールが見いだせないという状態でお互いに意思を疎通しあうことは不可能にも思える。そこで、マクロスが提案したコミュニケーションツールは『歌』なのだ。『歌』は国境どころか宇宙をも超える存在として描かれている。想いは震えとなり、その震えはすべてに響くということなのだろう。映画版の製作が決定しているので、新たな名曲が映画館を包み込むのを今から楽しみにしている。
 蛇足:アイくんを連れてバジュラにとびこんで、結局、バジュラを味方にしてしまったランカはなんとなくナウシカ様っぽい。