ベルギーGP。

 スパウェザーによる演出があまりにも凄かったので、最後の最後まで目が離せませんでした。そして、レースが終わって放心状態になっていたら、レース後の審議で結果がくるっと変わっていて、それにまたもや驚かされました。こんな驚いてばかりのレースは初めてかもしれません。たぶん、今季のレースの中でも1,2を争う印象に残るレースになることでしょう。
 ハミルトン、マッサ、コバライネンライコネンの順でのスタート。曇ってはいましたが雨は落ちていないため、全車ドライタイヤでのスタート。スタートはコバライネンが失敗してかなり順位を落としました。最初の1ラップでライコネンはマッサを交わして2位に、アロンソも4位にまで上がりました。さすが抜きどころの多いコースだけあって、かなりの入れ替わりが最初の1ラップであったので、見ていて目まぐるしかったです。2週目に入ってハミルトンがハーフスピン。ぐっと縮まった距離をライコネンが逃さずにハミルトンをパス。ライコネンが今季あまり見られなかった機敏さと勝負にかける意気込みを感じられたバトルでした。ライコネンはそのまま逃げ切り体勢。後方ではぐっと落ちてしまったコバライネンが必死の順位回復に。かなりのオーバーテイクが見られましたが、ウェーバーと接触してしまい、ドライブスルーペナルティを受けて、またも後方に沈みました。
 最初のピットストップはハミルトンから。1週遅れてライコネン、次にマッサが入ってきましたが、位置関係は変わらず。ライコネンは予選よりもかなりいいペースで走っており、ハミルトンとの差も6秒くらいはついてきました。最終のピットインはハミルトンとライコネンがほぼ同時。ライコネンが前でピットを出ましたが、ハードタイヤでのラップタイムはハミルトンが上のようでした。どんどんライコネンとの差を詰めていきました。3位マッサとの差もそれほどなく、この3者が見える距離感で争っています。
 とうとう残り3周というところで、ライコネンにハミルトンが追い付き、その差は1秒以下。そんな状況の中、なぜ、今なのかというタイミングで雨が落ちてきました。 最終シケインで仕掛けたハミルトン。手に汗握るサイドバイサイド。ハミルトンがシケインカットをしたために、ストレートでライコネンにポジションを譲るはず。私が見ていても譲ったのかどうか微妙というところで、またサイドに振ってライコネンを1コーナーでオーバーテイク! このあたりは微妙な感じでしたが、2人のどちらも譲れない戦いのぴりぴり感が伝わってきました。このままでは終われないライコネンは必死に食らいつき、雨が酷くなってきたこともあって、ハミルトンが滑ってコースアウトしている感にライコネンがトップ。その直後にライコネンがスピンし、ハミルトンがトップ。目まぐるしい戦いに雨が絡んで、どうなるのか誰もわからない展開に。その直後、ライコネンがまたスピンしてそのままクラッシュ! こういう終わりがくるとは思っても見ませんでした。ハミルトンはその後はかなりゆっくりとしたペースに切り替えて、最後までドライタイヤで走りきりました。
 この雨の対応が早かったのはハイドフェルド。いち早くタイヤを代えて、最後の1周でごぼう抜きして3位表彰台。最後の1周でくるんと結果をひっくりかえしました。ハミルトンはこの勝利がかなりうれしかったらしく、表彰台でも笑顔、無線でも叫んでいました。この勝利によって、ライコネンの優勝はかなり難しいものになりましたし、ハミルトン自身の優勝にとってもかなり大きな結果になりました。
 しかし、このレースはこれで終わりではありませんでした。レース後にハミルトンがライコネンにきちんと譲ったのかということが審議対象となり、25秒加算の判定がくだされたため、マッサが優勝、ハイドフェルドが2位、ハミルトンは3位という結果となったのです。なんらかの審議にはなるかなぁと思いましたが、マクラーレンには厳しい判定。
 ライコネンは今季一番いい走りだったし、勝負に対する気持ちが見えたレースだったにも関わらず、最後の最後で雨に泣かされる結果となってしまいました。結果がすべてかもしれませんが、ライコネンの走りは本当によかった。いつもあれくらい気持ちが見える走りを見せてくれたらいいなぁと思うくらい、すごい走りだったと思います。今年のチャンピオンは難しくはなってしまいましたが、ライコネンの闘志をこれからも走りで見せてほしいです。
 ホンダについては今回も何もいうことがないです。高速サーキットは苦手感があるにしても、もうちょっとどうにかならないのか。ウィリアムズにも負けているし、いいとこないし。バリチェロのギアボックストラブルなど、トラブルもいろいろあって戦闘力不足です。もうちょっと走りが見られるチームにこれから戻ってほしい。
 トロロッソは今回はすごかった。ベッテルブルデーも入賞。佐藤琢磨さんがテストを受けられるそうですが、今のマシンで佐藤琢磨さんの走りがみられるとすると面白いかもしれない。ブルデーは今季中のシートにも疑問符が付いているようですが、今回入賞したので、どうなのかな。希望的には日本GPあたり琢磨さんだったらと思ってしまったりもするのですが、レース外の状況も注目です。