ダークホルム闇の君シリーズ。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品紹介を引き続き。たくさんの登場人物が入り乱れてすっちゃかめっちゃかなのに、ラストは大団円。そんな魔法に夢中。

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

 魔法の世界は観光地と化していた。しかし、毎年の観光巡礼たちのために魔法の世界は大きな損害を被り、なんとかやめたいのだがそうもいかない。今年の悪役の親玉「闇の君」に指名されたダークとその一家はすっちゃかめっちゃかに。
 ダークとその一家のとんでもないことの数々に驚かされます。ダークはそれなりにしっかりした魔術師なのですが、その妻マーラはなぜか冷たいし(理由はあるのですが)、子供たちは悩みも多い。しかも、それ以外に子供のようなグリフィンが5匹!この5匹がとても個性豊かで手が付けられなくて事態が悪くなるばかりのような騒がしさでした。魔法の世界すべてから搾取している巡礼団。楽しませるために街は破壊され、人々は殺され、どんどん疲弊していきます。ある意味、この世界に通じるところがあるような気がします。ダークたちはそれに立ち向かおうとはしていないのですが、結果的に立ち向かったことになっており、あれ?っといううちにうまくいっていたりします(笑) ラストでは登場人物たちのえっ?!というような新たな事実が発覚するのも、ジョーンズ作品らしいところです。個性派すぎる登場人物達が長いストーリーでも飽きさせませんでした。これだけ個性的で主張も激しいのに、なぜか最後は上手くまとまっているのが不思議。わたしはブレイドが好きなので、ブレイドとウロコの今後が読めるとうれしいなと思います。 

グリフィンの年 (創元推理文庫)

グリフィンの年 (創元推理文庫)

 魔術師大学に入学したダークの娘エルダはグリフィン。魔術師大学は資金難から新入生の両親からの寄付を集めることになった。しかし、この新入生たちはそれぞれに問題ばかりを抱えていた。
ダーク一家も登場する続編。ダークの娘エルダととんでもない新入生たちが繰り広げるキャンパスライフです。魔法の世界は観光地化を取りやめたことから、どんどん新しくなっていきます。でもそんなに簡単には上手くいかないもの。大学も観光地化の弊害できちんと教える人がいなくなってしまい、とんでもない状況に。刺客に狙われたり、とっても貧乏だったり、クセのある新入生たちが繰り広げる日常は飽きるはずがありません。月に行こうとする教授の発明を手助けしようと試みて、とんでもないことになってしまうのですが、最後はまあるく治まっているのがジョーンズマジック。それに今回は恋愛も華々しくあちこちで咲き誇っています。ブレイドの恋はいまいち進展していないようですが、いまはこのまま見守っていようかな。ダーク一族におなじみのメンバーも加わって、あっというまに過ぎていく楽しさでした。1作目よりも2作目は読みやすかった気がします。