モナコGP決勝。

 モナコGPは雨レースでした。いろんなことが起こって、最初から最後まで目が離せませんでした。モナコはとても好きなコースです。海が見えたり、トンネルがあったり、ローズヘアピンがあったりとコースのいろんなところが目に浮かびます。でも、今日は雨のレースだったので風景はあまり見ている時間がなかったかなぁ。
 モナコは予選がすっごく大事なのですが、今回はフェラーリフロントロー独占でした。でも、マクラーレンの給油量が多めなんじゃないかなぁ?と予想していたので、このままフェラーリが抜けていってしまうことは考えていませんでした。スタート前にコバライネンが動かなくなってピットスタートになり、そして、決勝スタート。ライコネンのスタートがすごく良くなくて、ハミルトンが2位に。マッサが1位を守って走っていきました。序盤はやはりマシンのコントロールが上手くとれなかったのか大混乱。バトンが接触事故によってノーズ交換。ハミルトンもリアタイヤをぶつけてピットイン…などなど、覚えていられないほど、いろんなドライバーがトラブルによりピットに入ってきました。
 この時点ではフェラーリが独走態勢かなと思ったのですが、ブルデーの事故によってSCが入りました。このリスタート時にライコネンのスタート前の違反によるドライブスルーペナルティが出ていました。かなりのロスになると思われましたが、意外に雨なのでマシンのタイムがばらけていて、ライコネンはそれほど順位を落とさずに済みましたが、それでもこのペナルティは痛かった。そして、マッサが1コーナーでのミス。マシンへのダメージは避けられたのですが、その間にクビサに抜かれてしまいました。モナコのレースはちょっとしたことが命取りになってしまいます。
 このあと雨によって状況変化が。ほとんどのマシンがインターミディエットタイヤでのスタートでしたが、雨の量が多かったので、フルウェットタイヤを選んだマシンがいくつかありました。アロンソトゥルーリがそうでした。このまま雨が続くのかなと思っていましたが、これ以降、天候は回復していきました。ただ、これは今結果として言えるだけであって、あの時点ではどうなるかわからなかったですし、雨が降るという予報も出ていました。ただ、周回を重ねるごとにタイヤが異なることでかなりロスしてしまった部分はあると思います。
 刻々とドライタイヤコンディションに変化していく中で、アロンソがドライタイヤを選択。そのときには天候予報で6分後に雨が降るという情報もあったので、アロンソの選択が疑問でしたが、この後ピットインした各車はすべてドライタイヤを選択しました。グロックはしかもソフトタイヤを選択し、良いタイムをたたき出していたため、ソフトを選ぶマシンも多かったです。結局、この予報は外れて雨は降らなかったんですよね。どんな予報なんだと疑いたくもなってしまいます…。
 ハミルトンは好タイム連発で、いつの間にかトップでかなりのマージンを築いていました。最後のピットインを終えて悠々トップ。マッサは作戦が今日の天候には合ってなかったように思います。ポジションを守ろうとした戦略だったのですが、そのためにハミルトンにかなりのマージンを与えることになってしまいました。それに最後のピット作業が遅かった。タイヤ交換だけだったのに、時間がかかりすぎて、そのためにクビサにまで抜かれてしまい、いいとこなしです。
 雨でラップタイムが遅かったのでレース時間2時間というルールが適用されることになってしまいました。2時間ルールのレースは私は初めて見ました。残り時間が15分くらいのときに、ロズベルクがシケイン付近でクラッシュし、2度目のSCが入りました。隊列を整えるのにかなりの時間を要してしまい、残り時間は少なくなる一方。この時点での順位はハミルトン、クビサ、マッサ、スーティルライコネンでした。そうなんですよ、フォースインディアのスーティルが4位だったんです。ライコネンは全体としてあまりタイムが伸びてこなくて、どこかマシンが不調だったのかなと思っていましたが、このSC開けのタイミングはライコネンにとってはスーティルを交わす最後の機会でした。そして、トンネル出口でリアタイヤを滑らせて、そのままスーティルに追突し、2人ともピットイン。ライコネンはポイント圏外、そしてスーティルはリタイア。チームにとってもスーティルにとってもポイントが見えていただけにかなり悔しかったのでしょう、スーティルはピット奥で泣いていたようでした。ライコネンがあのタイミングで仕掛けていったことに対してはわかるのですが、ちょっと結果として残念でした。ライコネンの走りはこれまで守りに徹しているように見受けられたので、今日のアグレッシヴな走りはいいことだとは思えたのですけど。
 ということで、ハミルトンが初優勝。心配された雨は結局、最初だけでした。ハミルトンは序盤のミスはありましたが、そのあとは天候に戦略がはまって上手いレースでした。雨上がりのモナコで汽笛の音が響いていました。モナコはこの汽笛の音を聞くのがすごく好きなので、最後の最後まで観てしまいます。
 さて、Honda。バリチェロが6位でした。バトンは最初の接触や最後もコバライネンの追突といろいろトラブルが多かったです。それにSC中に賭に出て履いたタイヤのチョイスも天候に合っておらず、ちょっと辛い結果になりました。11位。もうちょっと上にいけたかなと思わなくもないレースでした。バリチェロは手堅いレースでのポイント。タイヤチョイスも他のチームと同じようにチョイスできていたし、大きなトラブルにも巻き込まれなかったので、きっちりポイント圏内を守れました。こういう混乱のレースではしっかり走って残っていくことが大事です。そういうところでは中嶋さんも入賞。混乱したレースではきっちり入賞圏内にいるところが中嶋さんの価値あるところだと思います。
 雨のレースだったので、混乱は予想されましたが、思っていた以上でした。予選ではモナココースのフェンスにぶつかりそうなくらいのぎりぎりのラインを攻める映像や跳ぶように過ぎていく景色を堪能できましたが、雨ではそれができなくて残念でした。来年は晴れるといいなぁ。