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クレストマンシーシリーズ。

児童書

 私が児童書作家さんの中で一番好きな、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品を紹介していなかったことに気が付いたので、何回かにわけて紹介します。日本語で刊行されているものは、おおよそ読んでいるはずなのですが、すべての本の感想は残していないので、再読してコンプリートしたいなと思っています。最初はジョーンズさんの醍醐味を堪能できるこのシリーズから。

魔女と暮らせば―大魔法使いクレストマンシー

魔女と暮らせば―大魔法使いクレストマンシー

 両親を亡くしたウェンドリンとキャット。ウェンドリンには魔法使いの才能があった。二人はお金持ちのクレストマンシーに引き取られることになる。クレストマンシーはウェンドリンに魔法を使うことを禁止する。
 最後まで読むとかならず「やられた」って気がします。いろいろ予想をするのですが、その予想の範囲外の答えが待ちうけているところがおもしろいです。ウェンドリンの仕掛ける魔法もかなり突拍子もないものばかりなのですが、それでもなぜ彼女をそんなにほおっておくのかという謎も最後までわかりませんでした。長い間ずっと一緒に暮らしているということは、ある意味いろんなことに慣れすぎているのかもしれません。最初はなにかおかしいと感じたことでも、長く続いてしまうとそれが当たり前になってしまう。日常の中にはそんなことがたくさんあるのではないでしょうか。きっと、誰かに言われないと気づかないそんな発見もあるのだと思います。大魔法使いクレストマンシー。派手で素敵なおじさま。呼ばれて飛び出るところも素敵。

クリストファーの魔法の旅―大魔法使いクレストマンシー

クリストファーの魔法の旅―大魔法使いクレストマンシー

 クリストファーは夢の中でいろんな世界にいき、いろんなものを持ってくることができた。それに気づいたラルフおじさんは実験をしようと言い出す。そして、命が9つあるクリストファーは大魔法使いのクレストマンシーの家に引き取られる。
 クリストファー・チャントの少年時代が描かれています。想像していたよりもかなり無茶なことを繰り返していたクリストファー。そんなクリストファーを支えてくれていたのは第10世界の女神だった。女神もとにかく行動優先の女の子でやりたい放題なところがあります。クライマックスがかなり後半にあるので、それまでは世界を楽しんでいるという感じです。クリストファーが自分が思っていたよりも、みんなに嫌な感情を与えていたことに気づいて、クレストマンシーとしてみんなを率いていく様は、さすがに未来のクレストマンシーを思わせるところがあります。ラストまで、みんなに利用されるだけされているクリストファーがそれでも、ここまで生きてこられたのがちょっと不思議かも(笑)

魔法使いはだれだ ― 大魔法使いクレストマンシー

魔法使いはだれだ ― 大魔法使いクレストマンシー

 魔法使いは見つけられると火あぶりになる世界。そんな世界で「このクラスに魔法使いがいる」というメモが発見された。疑心暗鬼になるクラスメイトたち。次々に魔法を使ったと思われる事件が起こる。いったい誰が魔法使いなのか。
 クレストマンシーシリーズですが、最初に読んでも大丈夫な作品。このタイトルが1番この作品を表わしていると思います。「魔法使い」はだれなのか。その答えは驚きをもって解き明かされるので楽しみです。クラスメイトたちが1人1人個性的でかわいくていいです。いいところもあり欠点もあり、そんな1人1人だからこそ物語が生き生きしてくるのだと思います。毎日つけている日記にはそんな1人1人の考え方が伺えます。とにかく、波瀾につぐ波瀾で誰がこの事態を収集するのかと思っている頃にやっとクレストマンシーの登場です。さすがというような舞台。そのクレストマンシーによって解き明かされる事実。そして、最後までその決定を拒み、そして受け入れた少年。いろんな波瀾がちゃんと最後には上手く収まるのですから、そこが面白いところです。

トニーノの歌う魔法―大魔法使いクレストマンシー

トニーノの歌う魔法―大魔法使いクレストマンシー

 イタリアのカプローナ小国では2つの家が呪文作りの名門として対立していた。その1つであるモンターナ家のトニーノは兄のパオロに比べて呪文を覚えるのも遅く役に立たないと感じていた。最近呪文の効力が弱くなっており、大魔法使いクレストマンシーが事態の解決のために訪れた。
 クレストマンシーシリーズはどれも好きなのですが、この「トニーノの歌う魔法」が1番好きです。なんといっても華やかで派手派手しいくらいの賑やかさがあるところが好きです。モンターナ家とペトロッキ家の対立にしても家のすべての人が集まって、歌うことで対決するんですよ!!呪文が言葉と歌で構成されているからなのですが、その様子を想像するとなんだかおかしくなってきてしまいます。名門の家の中でもどうしようもないと思われていたトニーノとアンジェリカの活躍も楽しいです。新しいチカラというのは、そんなふうに始めは役立たないと思われているのかもしれません。形式にこだわって反発しあっていた2つの家が新しいチカラで仲良くなっていくラストも賑やかです。

魔法がいっぱい―大魔法使いクレストマンシー外伝

魔法がいっぱい―大魔法使いクレストマンシー外伝

 キャットはイタリアから来たトニーノが気に食わない。いままでかわいがって貰えていたのは自分だったからだ。2人ででかけたお使いの途中で、2人ともがさらわれてしまう。
 短編集です。最後に読むのがおすすめ。いままでの4冊に出てきたいろんな人物が、出てくるのでおたのしみ短編という感じです。トニーノとキャットが共演というのは、やっぱり夢のようですね。それにクレストマンシーもいろいろ多忙なんだなとわかります(笑)。「夢見師」の女の子のお話しは風刺風でした。夢って個人の頭の中だけの想像かもしれませんが、もしかしたらこんなふうに舞台裏があるのかもって思ってしまいます。