薔薇のない花屋 第8話。

 期間限定の合い鍵。だましたことがあって、だまされたことがあって、それがわかっていて、そのことについては何も言わない。言った途端に、今の関係は全部壊れることがわかっているから。そして、2人は今のつかの間の時間をまだ手放したくはないから。美桜が同居を申し出るときの言葉がほんとうにかわいくって、ちょっとどきどきした。そうやっているときの気持ちはほんとうに純粋で、学生のときみたいにきらきらしていた。でもすぐに大人の顔に戻って謎めいた過去をひきづろうとしてしまう。意外に大人は子供の顔にもなれるようだ。
 直哉は寂しがりやさんだった。あまりに寂しがりやさんだったから、自分を強くみせるためにきゅっと誰かを傷つけてしまうんだろう。そして、その傷がまた彼を一人にする。きっと一人でいたくなくって限度を超えてしまって、彼はもっと自分を孤独にした。直哉には今からでもできることがたくさんあるはず。意外に後半の彼の動きが気になる。
 雫ちゃんはほんとに天使の笑顔。彼女の笑顔を守りたくていろんな人ががんばってて、そしてその笑顔にいろんな人が幸せになる。花の咲くような笑顔を見た。とうとう雫ちゃんのパパらしい人が登場。英治のこの上ない親友(たぶん)。そして、きっともっと深い。
 家族は血のつながりだけじゃない。それはわかっている。むしろ、心の繋がりだろう。どれくらい許せるか、認められるか、信じられるか。それを試してみたくなる。はかってみたくなる。仮面を付けて隠れているのは、きっと私も同じ。ホンモノの私を捜してほしくて、今日も素顔を隠している。そんな私を、見付けて。