薔薇のない花屋 第1回。

 ホームドラマのように温かい親子のお話なのかなと思っていたので、気構えずに見ていると、意外にもかなりの謎が飛び交う不思議なドラマでした。野島伸司さんの脚本のドラマは久々に見るような気がします。第1回としてはものすごく後を引くストーリーでしたし、これからも見ないといけないという気になってしまいました。
 竹内結子さんのきっぱりさっぱりした話し方がとても好きです。そんな竹内さんが演じているので、美桜はとても清廉で透明な女性なのだという先入観がありました。なので、美桜が盲目を演じていて英治を誘惑しようとしているという展開になったときには、唖然。ほのぼのしたドラマではないのだとこの時点でやっと気付かされました。どうしてこんなことをしているのか、いい人にしか見えない院長先生をこんなふうに掻き立てる原因はなんなのか、それが一番気にかかるところです。美桜の言葉は素直で率直に見えて、すごく深くまで入っていくものがある。毒があるというわけじゃなくて、あまりにもまっすぐすぎるから、そのまま人の心の奥に刺さってしまうようなそんな感じ。恋愛感情を持ったときに、どう変化していくのかな。
 英治はとても素朴で素敵な花屋さんに見えるのですが、たぶん、そうじゃない部分もあるのかもしれない。だって、野島さんの作品だし。人のイメージや外見だけでは判断できない部分がこのドラマの確信部分なのかなというような気がします。キャスト的にもそういうところを狙っておられるのだと思うし、それがしっかりはまっていると思います。ホストな工藤や他のどの人物にもいろんな謎があるんだろうなぁ。
 そして、今回は雫ちゃん役の八木優希さんの演技が光ってました。頭巾を付けて演じていた前半部分は声だけでいろんな感情やしっかりした雫ちゃんの性格がよく出ていたと思うし、なんといっても頭巾を取ったときのあの表情。あまりのかわいさにびっくりしてしまいました。これからどんな演技を見せてくれるのかとても楽しみです。