◆ショパンの森から。

ピアノの森(9) (モーニングKC (1446))

ピアノの森(9) (モーニングKC (1446))

 世間のクラシックブームはまだまだ続いているようですし、私の中のクラシックブームも続いています。『のだめカンタービレ』に続いて、音楽漫画『ピアノの森』を読みました。こちらはピアニストのお話なので、全編ピアノ一色。特にショパンが取り上げられています。ショパンコンクールに挑戦していたりもしますしね。主人公の海くんは天才級の才能を持りながら家庭環境や自分の中でのピアノの位置が楽しむということだったせいもあって、外の世界には開かれていませんでした。それがちょっとムリヤリにでも外に出てしまったことから、海くんの人生は大きく変わっていきます。
 森の中でピアノを弾くというシーンがとても印象的。森の鮮やかな緑。漆黒に輝くピアノの色。そして、こだましながら響いているピアノの音。想像するだけでこんなに美しいシーンはないと思えるくらいのシュチュエーションです。月の光とピアノという組み合わせも絶妙。人を引き込んでしまう音。その煌めきが伝わってくるような作品です。漫画の中で音はキラキラと輝いて、飛び回って、心を弾ませるリズムになっています。ショパンの曲名を聞いただけで音が想像できるようにはできていない私には、いろんな音を想像するばかり。この作品も音を聞きながら楽しむともっと鮮やかになるのでしょう。
 ピアノの森のアニメ映画化が決まっていて、その音楽にあの巨匠ウラディーミル・アシュケナージさんが携わっていると聞いて、もう見たくてたまらなくなりました。ウラディーミル・アシュケナージさんがNHK交響楽団の音楽監督を務めておられるのを知ったのもつい最近で、ピアニストの印象が強かったアシュケナージさんが指揮を振っておられるのを見てびっくりだったのです。もうピアニストとしての音は聞けないのかなぁと漠然と思っていたのですが、この作品ではアシュケナージさん自身がピアノ演奏をされるとのこと、観るしかないですよね。アシュケナージさんの音ならきっとこの作品の世界をより高めてくれるものと思います。本当に人を引き込むピアノの音が聞けること間違いなしでしょう。