◆アナグラム。

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

 ダ・ヴィンチ・コード、読み終わりました。面白かったです。映画を見てから本という流れだったので、映画の映像を頭の中に思い浮かべながら読んでいました。教会や美術館のシーンは映画で見ていたので、より鮮明に想像することができてよかった。私の貧弱な想像力では到底あそこまでは思い描けなかったに違いない。本と映画の相違点もいくつか気が付きましたが、こうやって原作を読んでから映画を振り返ると、やっぱり映画は「謎解き」の部分の楽しさをあまり伝えきれていないように思いました。アナグラムは映像として見せるには、ぱっとしないものだったかもしれませんが、原作の面白さはそこにあります。暗号や言葉遊びから真実に近づいていく課程が面白いです。逆に「Apple」を思いつくまでの過程は映画の方が劇的に描かれていて、立体としての謎解きは視覚があった方がよりわかりやすかったです。原作読んでから映画よりは、映画見てから原作の方が楽しめそうかな?
 原作では私が疑問に思っていたところに説明があり、なぜこのストーリーが「ダ・ヴィンチ・コード」なのかが納得できました。教会に絵を描きつつも、実は教会には批判的だったダ・ヴィンチ。そういうダ・ヴィンチの背景が知識になかったので、映画のときは絵に対する解釈がこじつけのように思えてしまったのです。他のダ・ヴィンチの作品にもいろいろ見るべきところがあるようですし、ルーブルに是非行ってみたくなりました。寄せ木細工の床が見たい。
 ソフィーの立場も映画よりは原作の方がしっくりくる感じでした。ソニエールや祖母との関係がラストに描かれていたからこそ、暖かい雰囲気で終わっていますし、ソフィーの出生の秘密はそこまで衝撃的な事実というわけでもないような感じを受けました。無理にロスリンの床を探ったりすることもなかったですしね。あのあたりはちょっと違和感を感じましたし。ソニエールの秘術についても、その背景が描かれていたので、妙な誤解を解くことができました。なんだかいかがわしげなカルトを思い浮かべてしまってました。ソニエールについては原作の方がずっと素敵なおじいさんです。ソニエールがなぜラングトンを呼んだのかもわかり、いろいろ映画での疑問が解けたので、満足です。
 少し残念なのは、私が一作目である「天使と悪魔」を読む前にこれを読んでしまったこと。一作目のことがちらりと出てくるのですが、それがわからなかったのが残念でした。これからでも一作目を読もうと思います。いろいろ世間は騒ぎ立てていましたが、そういうことよりなにより、とにかく面白い娯楽作品になっているので、さすがベストセラー。