◆すべて正義の名の下に。

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE (12) (ジャンプ・コミックス)

 
 DEATH NOTE終わっちゃった。最終巻、ふえ〜っという展開でした。12巻で終わりだということを知らなかったのですが、帯に「終わる」って書いてあるのをみて淋しくなりました。そして終わりということは、だいたいそうなんだろうなと思っていた展開に(大筋で)なってしまい、ちょっとしょぼん。以下、ネタバレありなので続きはこちら。
 月も所詮は人間だったってことかな。これまでなんだかんだと上手く立ち回っているように見えた月だったけど、最終巻はほんと人間臭さが出ていた。『死』というものが、淡々と行われていることに違和感を感じた1巻。でも、最終巻ではやはり『死』は壮絶なものとして描かれていた。救いがあるわけでもなく、奈落があるわけでもなく、そういった視点から見ると『すべてのものに平等に訪れる』ものであることは確かなのかもしれない。気まぐれに引き起こされるからこそ、混沌として『生きる』意味がある。抜け道がある方が生きていけるのかもしれない。誰が要らなくて、誰が必要だなんて、結局、同じ人間に決めるのはあまりにも難しいこと。基準をどこに持つかは主観でしかないし、月のやっていることも自分のためではなかったと本当に言い切れるのか。自分の立場を危うくするもの、要らないと思ったもの、それを目の前から消していっただけのような気がする。そこに正義はあったのか、独りよがりではなかったのか、月は結局、自分の中のスリルを楽しんでいただけのような気がしてならない。ノートに名前を書く。人が死ぬ。多ければ多いほど死は当たり前になり、感覚は鈍化していく。結局、あがきながら言い訳しながら生きる様を死神に踊らされていただけなのかもしれない。リュークと月の間に感情なんてなかった。結局、死神はそういうものなんだろう。面白いか、面白くないか、それだけなんだ。人の存在はあまりにもちっぽけだ。複雑すぎる感情とベクトルを一つの方向に向けることはきっとできない。生きるということが発散するベクトルのように広がっているからだろう。そして、たったひとつ。みんな同じものを持っている。それが『死』だっただけだ。