ライラの冒険シリーズ

黄金の羅針盤 (ライラの冒険シリーズ (1))

黄金の羅針盤 (ライラの冒険シリーズ (1))

 私達の住んでいる世界と似ているようで別の世界。そこに住む人々にはダイモンという守護精霊が必ずいます。このシリーズにおいて、ダイモンという存在はとても重要な役割を果たしているだけでなく、キャラクターとしても重要だと思います。魔女に鎧をつけたクマなど思いもかけないものが自然に登場し、とても分厚い本ですが最後まで楽しんで読めました。描写がとても細かくて丁寧なので、細部まで想像することができリアルな感覚です。ライラは主人公のわりには平気で嘘をつく女の子ですが、そんな無邪気な少女がこれからどう成長していくのか楽しみです。装丁もとても豪華な感じがして、さすが「黄金の」という雰囲気です。


神秘の短剣 (ライラの冒険シリーズ (2))

神秘の短剣 (ライラの冒険シリーズ (2))

 ウィルが登場です。ライラだけではとんでもないのですが、ウィルは常識的なのでそれに歯止めがかかったような気がします。ウィルの世界は私達が今いるこの世界なのですが、その世界でさえも目新しく感じてしまいます。アスリエル卿が何を考えているのか、さっぱりわかりません。あとコールター夫人もコールター夫人で暗躍していて、この家族はすごいなー(笑) ウィルの父親を2人は捜すのですが、本当に思いもかけない人が父親だったりして、びっくりしました。神秘の短剣の用途も想像できないようなすごい代物です。短剣を探し出すエピソードは息もつかせないような迫力とスピードのある描写でした。


琥珀の望遠鏡 (ライラの冒険シリーズ (3))

琥珀の望遠鏡 (ライラの冒険シリーズ (3))

 3冊目はとても分厚いのですが、その厚さを感じることもないほど様々なエピソードがつめこまれていて、ラストまでとても早く感じました。宗教的な側面も感じられるものがありましたが、作者の意図するこの地上での楽園。それを子供達は創り上げていくことができるように思いました。この3作目を読んですべての繋がりがわかり、本当に素晴らしい作品だと思います。二人が決めた二人の未来、ちょっと切ない場面もあるのですが、それでも心は繋がっているような気がします。死んだ後の幸せを生きている間に祈るより、今、こうして生きているときに幸せを掴みたいと思います。人間は生きているだけでいろんな罪を犯しているのかもしれません。それでも、わたしが感じ、築きあげてきたものは真実だと思います。それを信じていたいのです。